0-106山間部2日目と大山羊とか
次の日は、荷馬車は山間部を通る事になる
森を抜けた事で、山犬の襲撃も減り、山間部を通る
山を切り開いた街道なので、道幅が狭く、休憩場所も無く
リウはMAPを展開し、道幅の広い所で休憩を繰り返していた
リウはMAPで見ていて知っていたが、遠巻きに荷馬車を見ている気がしていた
ノノ達も何かの反応は感じているみたいだが、見えない事にはどうしようもなく、荷馬車の警戒をしていた
「何かいる気がするが・・・」
「山の上から見てるのかな?」
「一定の距離にいますが・・・」
ノノ達は何かの反応を感じていた
クラシス達は反応を感じ、山の方を見ているが距離的な問題と、見た事も無い何かでは正体を知るのは難しそうだな
「大山羊か・・・、二角鹿のどちらかだと思うんだけど・・・」
「数匹の群れなら大山羊か・・・?」
大山羊は身体も大きく、垂直の崖も登り降り、そして、この世界の大山羊は肉食という・・・、2本の捻じれた角を突き裂き獲物を捕食するという・・・
2mの土壁では耐えれないかもしれない、簡易陣地だけでは『アイギス』も荷馬車も守れないかも・・・
御者のリウはMAPを展開し、広めの街道側で停車し、出来あいの料理で昼ご飯にした、山間部の通過は3日くらいを予定していたので、今日は休憩を短めにし、荷馬車を進める事にする
相変わらず、何かが荷馬車に平行して、移動していた
ノノ達も崖の方を見て反応があるのは感じてはいるが・・・遠すぎるな
クラシスとリズはいつでも魔法障壁を展開できるように、荷馬車の屋根で待機していた
荷馬車の移動中は、山間部からは御者と助手はリウとノノとココとジャンヌが担当していた、荷馬車の屋根にはクラシスとリズと、荷馬車の中にはシルキーとミルキーが周囲を警戒し、アライズ達3人は調理荷台で、移動中でも食べられるサンドイッチやハンバーガーを作っていた
リウはMAPを展開し、今の時間とこの先の街道の広さを考え、早めに休憩する事にする、荷馬車を停車し、今日一泊する馬車を土魔法で構築する
リウは崖に手を当て、土魔法で荷馬車を停車出来るスペースを作りだす
地下室を作成した土魔法で休憩スペースを作りだす、まずは土魔法で四方を掘り周囲を石材で囲み、荷馬車を土魔法で拡張したスペースへ移動させる、内部は元々の簡易陣地の広さがあり、明るさに問題はあるが、安全性の事を考えれば、街道で宿泊するよりは数段の安全と言えた、入口を土魔法で塞ぎ、換気口を入口に数か所作成する
今回の崖の陣地は、安全性を考え、明るさが無かったので、コンロ焚火で明かりを確保し、出来あいの料理で晩ご飯をお済ませる
今日から3日間は崖の陣地で安全確保し、何事も無く山間部を通過する事を考える、そういえば普通はどうやって山間部を超えるんだろ・・・?
「そういえば普通は山間部を通る時はどうやるの?」
リウの素朴な質問をクラシスが答えてくれた
「普通は冒険者が火の番をし、夜通し警戒するかな?それでも大山羊などの襲撃があるから、冒険者の数を揃えたりで大変みたいだけどね・・・、崖を宿泊するために土魔法を使うのは初めて見るかも・・・」
「崖での宿泊を考えるなら、ランプとか購入した方がいいかも」
「明るくする魔法とかはないの?」
「・・・どうだっけ?生活魔法には無いよね・・・?」
「街へ着いたら魔道具屋へ行って明かりの魔法を教えてもらおう、それか道具屋でランプを購入するか・・・」
「それは街へ行ってから考えましょ?」
「今日はこのまま焚き火の周りで寝ましょうか~」
メンバー全員が焚き火を中心に横になる
リウは入口を凝視しながら、街道に大山羊がいるのがわかる
それはノノ達も街道の反応を感じているのだろう
クラシス達も外の状況がわかるのか、横になりながら手元にはライフル杖を置いていた
このままではみんなが寝れないと思い、入口を具現化魔法の『網』で完全にふさいだ、土壁に追加で『網』を固定し、リウは入口が破壊不可能になったのを確認し、静かに寝始める・・・
他のメンバーもリウが寝始めたのを確認し、ここが安全であることを知り寝る事にした
荷馬車の屋根で『白銀龍』はリウの具現化魔法の「紐」を見て、具現化の多様性を知った、それは魔法の進化というか、変化と言うか・・・
『白銀龍』は土壁が突破された時には、一番で追撃するつもりでいたが、土壁に『網』が固定した事により、破壊不可能である事を本能で知った
『白銀龍』は起きていても危なくないのを知ると、リウの隣で寝始める
街道の大山羊は、捕食の為に人間に近づいたのではなく、食料の匂いが気になって、荷馬車に平行して移動していただけだった・・・
何を食べているのかを知りたいだけなのに、食事の時は荷馬車の中、もしくは、土壁の中で食べていて、大山羊は決して人間達の料理が欲しいのではなく、何の食材がこの匂いを放しているのかを知りたかった
大山羊は人間の料理を食べない、食べたら人間を襲い、その味を欲しがるのを本能で知っていたから・・・過去に一度、人間の料理を食べ、味を知った大山羊は街を襲い料理を求めて人間を襲った、そのため大山羊は過去に住処を追われ絶滅の危機を迎えた事があった
そのため料理を知るのではなく、食材を知り自分たちで捕獲し食す事にしていた、だが人間達(リウ達)はそんな事を知らないので、食事は安全を考え馬車の中とか、隠れて食事をしていた、他の冒険者は馬車から下りて食事をしていたというのに・・・、大山羊は食事を隠して進むリウ達の荷馬車が気になってしょうがなかった・・・
次の日の朝、リウはMAPを展開し、周囲を警戒する
相変わらず、赤マーカーが荷馬車を囲むように待機していた
だが山犬のように襲うように近づくわけでもなし・・・
暫くすると『アイギス』のメンバーが起きだしたので、リウは入口の『網』を解除し土壁を崩し、街道に出てみた
大山羊は崖の絶壁に佇み、荷馬車を見降ろしていた
リウは大山羊を見上げながら、「さて、どうしたのもか(=_=」と考え、「まぁ、いいか」と考えるのを放棄し、崖の陣地から荷馬車を出し、陣地を元に戻し、街道を走りだす
今日は御者と助手をクラシスとリズに任せ、荷馬車の簡易屋根を収納した状態でリウと『白銀龍』が頭上の大山羊の警戒する
「なぁ、『白銀龍』大山羊とは話せるか?」
「んー、どうだろ?荷馬車の馬とは話せたけど・・・、大山羊とは話した事無いな。あいつらすぐに逃げるし、こんなに大勢見る事も無かったし」
「そっか、今はいいが、もし近づいて来ても攻撃禁止ね。『イージス』で守るから少し話してみて」
「いいけど?なんで??」
「大山羊は襲うとかじゃなく、荷馬車を観察しているだけに見えてさ・・・」
「了解~」
御者のクラシスにも同じように、大山羊が接近しても停車して様子見をお願いした、リズや荷馬車のメンバーにも魔法障壁のみの対応をお願いした
荷馬車は大山羊の視線を気にしながら荷馬車を走らせる
リウはMAPを展開し、周囲の反応を調べていた、目視とMAPとで大山羊の反応を感じていた、やっぱり大山羊は赤マーカーから変化なしか・・・
襲ってくるから赤マーカーなのか、討伐対象が赤マーカーなのか不審寝点が多いな、黄色マーカーは薬草採取場所だったし、白マーカーは冒険者だったかな?
暫らく荷馬車を走らせ、クラシスは広めの街道側で停車し、アライズ達が食事の準備を始める、リウは荷馬車の周りに土壁を1mの高さで作成し、土壁の沿って2mの高さで4本の支柱を作成する、支柱を『網』で囲い荷馬車の周りを囲む
リウは崖を見上げる・・・、やっぱり大山羊がいるね「さて、どうしたものか」
リウ達は昼ご飯を荷馬車から出て、山間部で初めて野外での食事となる
荷馬車の屋根で警戒しながらの食事はしてたが、今日は久しぶりに馬も一緒に食事なので馬2頭も嬉しそうだ、ノノとココとジャンヌは馬の傍で食べている
荷馬車に側にシルキーとミルキーが座り、2人の護衛としてアライズとアリサとアンナが座り、リウとクラシスとリズが5人と荷馬車を守る様に座る
『白銀龍』はリウの傍に座っていた
食事は焼魚と3角牛のステーキ、それと果物をいっぱいをテーブルにのせ、食事を始める
食事を始まると、1頭の大山羊が荷馬車へ接近してくる
クラシスとリズは魔法障壁を展開し、荷馬車全体を守る様にした
ノノとココとジャンヌも馬2頭が暴れないように傍に待機している
「クラシスとリズ、危ない時は『イージス』を展開してね」
リウはそういうと『白銀龍』を連れて大山羊の方へ歩いていく
「危ないわよ!」
クラシスは魔法障壁の外へ向かうリウの声をかける
「ちょっと様子を聞くだけ、大丈夫だよ~」
リウはにへらと笑顔で答える、『白銀龍』も「ガゥ」と答え、大山羊へ近づく
『網』と土壁を一瞬解除し、大山羊の5m傍まで近づく
大山羊は警戒してるのか、後ろ脚を広げ、頭を少し下げ角をリウ達へ向けてきた
リウは『白銀龍』へ大山羊の通訳をお願いする
『白銀龍』は「任せろ」と言い、リウは『白銀龍』を抱き上げ大山羊へ話しかける
「はじめました大山羊、何でうちの荷馬車についてくるのかな?」
リウは『白銀龍』を通じて大山羊へ話しかける
「ほー、こっちの言葉がわかるものがいるのか・・・、我らは君達が何を食べているのか気になってね、料理というか食材を知りたかったんだ・・・」
「食材・・・?」
「そうだ、料理を食べるのは大山羊の掟で禁止となっている、そのかわり食材を知り、自分たちで捕獲し食べたいのだ、教えてはくれないか・・・」
「食材でいいなら、見せてもいいけど、この周辺で捕獲可能かわからないけどいいの?」
「食材を知れば自分たちで探し捕獲し食す」
「了解、アイテムボックスから出すから見てみ、まずは湖の魚・3角牛・大猪、この3種類が山間部で食べて食材だね」
リウはそういうとアイテムボックスに食材をアイテムボックスに保管する
大山羊は3種類の食材を見て覚えているみたいだ、崖の上にいる大山羊も同じ様に覚えているのかもしれない
暫くすると不崖の上の大山羊が崖から消えていた、食材を求めて移動したみたいだ
目の前の大山羊も食材を知り、食材を求めて駆けて行きそうだった
「ありがとう、感謝する。この荷馬車からの匂いに、我らの群れは食材探しに躍起になっていた、今見せてもらった食材を探すのに、我らの群れは移動を開始するだろう」
「そかそか、探すなら街道を北へ向かってみな、僕らはそこから来た」
「ありがたい、我らはもう行くが、また会う事があれば、今の様に話をしたいがいいか?」
「ああ、いいぞ。『白銀龍』を通してだけどね」
大山羊はこくりを頷き、街道を北へ向かって駆けて行く
リウは街道を疾走していく大山羊を他の冒険者が見たら警戒して、討伐クエストを組まれそうだな・・・と、思いながら荷馬車へと戻る
「戻ったよ~」
リウが荷馬車へ戻ると、他のメンバーは安堵し、料理を温めなおしてから、食事を再開する
リウは大山羊が何故『アイギス』の荷馬車を付きまとっていたのかを話した
「大山羊はアライズ達の料理が気になってついて来てたみたい・・・」
それを聞いたメンバーは小冊子を広げ、大山羊の詳細が書かれたページを見ていた、大山羊の大きさや生態が書かれていたが、食材探しのとこは書かれてはいなかった・・・
「食材探しをしているのは、新たな情報だね、ギルドへ教えても信じてもらえないかも・・・」
「それで何の食材を教えたの?」
「湖の魚・3角牛・大猪の3種類だね、街道を北へ行ったところから来たって教えたから・・・、今頃は大騒ぎかもね~」
「まぁ、大山羊は無抵抗な人間を襲わないという事だけわかったから良しとしましょ」
クラシスのその一言で食事が再開する、荷馬車の周囲に大山羊の反応は無くなった、ノノ達も大山羊の視線を感じなくなり「ほっ」としたみたいだ
リウはMAPを展開し、赤マーカーが群れで日田へ向かっているのがわかる
「『白銀龍』もお疲れ様」
リウはそういい『白銀龍』に、3角牛のステーキを食べやすい大きさにカットし、食べさせる、『白銀龍』は嬉しそうに食べ、しっぽをぶんぶんふっている
「今日から少しは襲撃は減るかもしれないね~」
リウは焼魚をはむはむと食べながら、今晩は少しは火の番が楽になりそうな気がしていた
その日は、荷馬車の周囲を警戒しても、大山羊も二角鹿も反応が無く、順調に街道を進める事になる
山間部2日目の夜は、昨日までの崖の陣地を作成する事無く、街道に簡易陣地を作成し、火の番を交代で行う事になる
明日1日で山間部を超えそうなので、『アイギス』のメンバーは早めに食事を済ませ、交代しながら眠る事になる
それは山間部は移動でも休憩中でも気が抜けず、体力以上に精神的に疲れているみたいだった、それに今日は大山羊との対面もあり、リウは食事後すぐに寝て、深夜の火の晩に備えるのだった
山間部には大山羊・二角鹿の2種類が分布してますが、発見できるかは運次第




