活動日誌 2ページ目
リビングには、私と母と、認めたくはないがさっきの怖いおじさん。
私は震える手で戸棚の奥にあるめったに出さない高いお茶を急いで入れて二人に出す。
「すまんのう、嬢ちゃん。気ィ使わせてしもうて」
「い、いえ。母のお客さんですので」
嗚呼、神様。私の声は震えていませんか? 自然に笑っていますか? 寿命は今どのくらいありますか? もうだめだ。怖すぎるこのおじさん。
「キーさん。わざわざ私に会いに来たなんて…まさか…」
「そのまさかや」
「そんな! もう倒したはずなんじゃ!」
「倒せ切れんかったらしい」
今の話の流れからして、母はヤバい感じの仕事をしていたらしい。組の抗争とかに巻き込まれたくないんですお願いします。お母さん早くこの人追っ払って。なんて思っていても口には出せずにその場に固まってしまう。そんな私はお構いなしに2人の話はどんどん進む。
「キーさん、もうだめなのよ。私ももういい加減いい年なんだから…」
「せやなぁ…跡取りかなんかいればなぁ…」
「「あ」」
二人の声が重なり、視線が私の方に向いた。やばいと感じた瞬間、急に冷や汗が出る。
「お嬢ちゃん、ワシと契約して魔法少女にならへん?」
「お願い麻奈! お母さんもう駄目なのよ…」
何がなんだかさっぱり分からない。契約!? 魔法少女? 一体どこのファンタジーなんだ! そんなのはアニメと漫画と劇場版三つで十分だ!!
くそう、夢なら覚めてくれ! 頼む!!
「大丈夫やってちょっとしたボランティアみたいなもんやから」
ボランティアがどうして魔法少女なんですか!
「大丈夫よ。変なことしなければ死なないから」
生死に関わるんですかお母さん。そんなことを娘に進めないでください。
2,30分後
私はなんだかいい具合に言いくるめ(脅し、泣き落とし含める)られ、魔法少女になる契約をしてしまった。キーさんなる人は、実は妖精で、本名はキララというらしい。全然顔に会わない可愛らしい名前だ。
そんな訳で、魔法少女、始めました。