残念ですから
突然思いついて書きました。
いま流行の婚約破棄ものではないです。沿っていますけど。
そして文章を多少書き直しました。筋は変わっていないと思います。
いつになるかは、分かりませんが伏線を回収しつつ惑星についての話を書いていこうと思います。
かなり昔に書いたパロディ同人誌の「緋焔」に出ていた六連立惑星がモチーフになり、私のお月様を含む全ての小説に関わる話です。
まだ、リハビリ段階で読みづらく分かりにくいと思いますが、多少の暇つぶしになれば。
第二王子の場合。
「ヨセフィン、貴方との婚約を解消したい」
・・・・・どこのテンプレなのか?と常々私は思う。どこもかしこも似た様な展開になるわ~。
第一、学園の登校口のど真ん中で言う台詞じゃなかろう。
第二王子は、非常識だわ~~私だったら引いちゃう~ついで言うと、こんな男はぜ~~~~ったい、願い下げだわ。
王子の言葉に、何事かと教室に向かうはずだった生徒が足を止めてこの一幕を見つめちゃっていた。
対して。
「よろしくてよ、殿下。その前に理由をお聞かせいただけないかしら。後、両陛下とワタクシの両親に殿下から報告なさってくださいまし」
「判った。「好きな人が出来たなんてチンケな言い訳は聞きませんわよ」理由だが」
ヨセフィン様が殿下の言葉に自分の言葉をかぶせて更に言い募る。
「クラリッサ様から聞いていますわ。殿下とはお付き合い並びに婚約などおこがましくで出来そうにもないと」
「な、なんでそこでクラリッサの名が。そなたまさか、また」
まさかまたとは何だろう。
私は足を止めてじっくりと二人の様子を伺う。
後で、侍女仲間や姫様、王妃様と楽しくおしゃべりしなくては。
「また、女を誑かしたのか」
「まあ、失礼な。ワタクシが何時女性を誑かしたと」
「まずは、背後の山と連なる女性達。それに、生徒会連中の婚約者達、後、城勤めの女官達、他にも・・・・」
「殿下が何を仰ってるのかわかりませんわ。彼女達は皆ワタクシの美を求めていらっしゃる方々です」
「美だと」
「当然。麗しく美しい人は更に美しく、自分の容姿に悩んでいらっしゃる方も、ワタクシに掛かれば更に美しく。そうでない方はそれなりに。皆様女性でいらっしゃる限りは美しくあらねばなりません。どんな方にも平等に」
おお、彼女が有名なカリスマエステシャン、ヨセフィン・ガザーランド・ネイシール様か。確か侯爵(Maquess)家ご令嬢にあるにも関わらず、常に美を追求し食物飲み物によって体質を変化させ、マッサージや化粧術であらゆる女性を美しく磨き立てるのが趣味と言う。
そのせいか女性のシンパが多く、彼女に近づく男性は婚約者の殿下以外はそのシンパが排除するという徹底振り。
そのせいか政略結婚先である相手の婚約者よりも、ヨセフィン様を取る女性が増えていてそれが男性達の悩みの種ともいう。
「ともあれ、数多の女性を侍らせているお前と婚約を結んでいるなど。(他の男にそれでどうして俺が怨まれる)その上、俺の好いたクラリッサも手玉に取るとは。正当な婚約解消のため貴方に決闘を申し込む」
「まあ。結婚を殿下がどのように考えていらっしゃるかわかりましたわ。政略結婚の意味をお考えいただけないのでしたら、そのお話お受けいたします」
と、にっこり微笑んだ。
殿下の鍵括弧の内面まで何故か受け止めてしまった(; ・`д・´)
しかしこのご令嬢本当に女性にもてるな。ある意味ハーレムといえなくもないし。
・・・・・それにしても。
王家の婚約解消に対して決闘するなど聞いたことがないよ。
これは後で旦那様と姫様に聞いてみなければ。
それに、この後の展開をつぶさに目に焼き付けて姫様に報告しなければと、野次馬根性が芽生えてしまう。
私、トワ・ケイトリー・クロフォードは転生前の記憶がある、アクアミューゼル皇国の南に位置する幻獣ミドガルズオルム(ヨルムンガンドともいう)が守護するフォルドガルド国の王都ラグゼル城に勤めているしがない侍女である。
元々私は下女であったのだが、この惑星の人間と違う魂の持ち主が珍しいと、城筆頭の魔導師長に実験動物にされそうになったところを現在の夫である宰相様に助けて貰い、それが縁で魔導師長から身を守るために当時は偽装結婚をした。
紆余曲折の末現在は、伯爵(Count)家に養女として入り名実ともに宰相と夫婦である。
何しろ暴走したら王族の命でも止まらない魔導師長を、踵落としで黙らせることが出来るのは旦那様を置いて右に出るものはいない。
辛うじて騎士団長が落とせるくらいだけど、それでも奴の暴走は留まることを知らない。
手近に旦那様がいないときは、呼ばれた近衛騎士団長の魔導師長の姉上様がローリングソバットを放った後で、バックドロップをけしかけるかドラゴンシープレックスで仕留める。
無論軽装ではなくがちがちの鎧を装着して、だ。
確実に息の根を仕留めに行っているのが判る。しかし、魔導師長はカサカサ動くG並みの生命力を持っているせいか、なかなかしぶとく生き残っているのよ。
その後、魔導師長の姉上様がアイアンクローで魔導師長の脳髄を締め上げながら説教コースを辿って暴走を止めるのだけど、周りの被害も大きくて。
その点、踵落とし一発で意識を落とし被害なく済ませることは旦那様以外今のところは見たことないわ。
今日は、姫様の頼みで今春学園へ入学される従兄弟姫様の書類を届けに授業が始まる前に足を運んだ時のこと。この婚約解消劇が始まったのは。
面白い見物だわ。
私はこっそりとほくそ笑む。城へ戻ったら早速お茶の準備に入ること間違いなし。無論お茶請けはこの話だ。
「では殿下、今からになさいます?それとも放課後?」
「早いほうがいいだろう」
「承りましたわ。では、体育館のほうへ移動しませんこと?そちらに準備を致します」
と、こともなげに侯爵令嬢ヨセフィン・ガザーランド・ネイシール様は制服のスカートの裾を翻して、体育館へと向かっていった。
彼女に付き従う、大勢の女生徒達。
彼女の美貌なら、男子生徒が少なくとも周りを占めているはずだけど、ヨセフィン嬢のシンパの女性達が幾重にも壁となって立ちはだかり男子生徒を近づけさせない。
見事なコンビネーションだなっとふと思った。
第二王子の背後にいる男子生徒が、ヨセフィン嬢の去っていく後ろ姿と女生徒達をヨダレをたらしそうな顔で見つめていました。
侯爵令嬢ヨセフィン様は、同姓の私から見てもとてもお美しい女性。
あ、勿論、私の天使のように美しい姫様には叶わないと思いますけど。
それでも、嬢を見た人が口々に妖精の様と謳うの。
小さな卵型の顔にそれを縁取る月光を編んで紡いだような滑らかな銀髪は腰まで届き、行き届いた手入れがされているのか歩く度に光を反射している。
瞳は長い睫がばさばさと縁取り、ピンクサファイアが埋め込まれているといわれる、淡いピンクの目。それに揃うような小さなピンクの唇は、小ぶりな鼻。
華奢な手足はほっそりとしていた。
そんな、妖精姫とも謳われる彼女を振って、別の人間を選ぼうとする第二王子の人格を疑ってしまうわ~。
想いを寄せている女性にはばっさり振らたみたいだけど。
まさか、変な嗜好とかあるんじゃないでしょうね、王太子のように。
そう思いつつも、とりあえず手にした書類をさっさと学園職員に手渡し私は、ことの顛末を見ようと体育館へ足を運んだ。無論、書類を届けるために姫様から学園の制服に着替えるように言われていたので、何年ぶりかのセーラー服着用です。
まさか後の展開があんなことになるなんて。
人生何があるかわからないわ~~。
体育館の1Fは大勢の女生徒たちが取り巻いちゃってるし、僅かなスペースに男共がひしめいていた。
男共のむさくるしいこと、むさくるしいこと。
とてもじゃないけど、こう人がひしめいていては真ん中がどうなっているのかわからないため、2階へと足を運んで目を瞠りました。
何せ体育館のど真ん中には、見紛うことなく立派なリングが設けられていたからだ。
この世界の人々が知っているのかは疑わしい、どう見てもプロレスに使う白いマットのリングが。
無論私は知っていますよ。
転生前の私の祖母がプロレスに嵌っていましたし。そのお陰とでも言いましょうか。
私も多少はプロレスのことは詳しいの。
当年とって98歳だった私のお婆ちゃん、もう天国に召されてしまったわよね。
私は、30代の半ばで癌になっちゃって、摘出手術中に死んでしまったのでその後のことはわからないの。
転生前の祖母を思いやりつつ、私の脳裏に前世で見ていたプロレスのアニメソングが白いマットの~とぐるぐると渦巻く。
そして支度を終えたのだろうか、ヨセフィン嬢が身体全体を覆うようなマントに包まれてどうどうと花道を歩き、反対側には似た様な格好の第二王子が。
まさか。
まさか、まさか、まさか。
そのまさかの期待を裏切らずに、ヨセフィン嬢はリングへ高々と身を翻して飛び込む。
ロープをまたいで入った第二王子とは対照的に。
そして、身に纏っていたローブをばっとリング下へと投げ捨てる。
同時に、男子生徒からおお~~~という低いどよめきとぶしゅ~と噴出される何か。
いや、見なくてもわかる。それぐらいは。
多分、令嬢の姿を見て鼻血を噴出したのだろう。
妖精と謳われた令嬢は、そのウルトラボディを惜しげもなく曝け出し王子の前へ立ちはだかりました。
レオタードと、スカートのような水着と肘上を覆う手袋、ふくらはぎを包むロングブーツ。
身体のラインは丸わかりなのに、肌がさらされていることはない。
無論、王子とて男だ。
そのボディの魅惑に抗うすべはなくっ。
その証拠に、目がうろうろとさ迷っているのが私にも分かった。
「殿下、いざ勝負ですわ」
「ふん。過去私に負けたことを忘れたわけじゃなかろうな」
「ええ、覚えていますとも。そのせいで婚約をしたわけですから」
「ふん」
「殿下、確認いたしてもよろしいでしょうか?殿下が試合に勝てば、婚約を破棄ということで。ワタクシからの条件は、ワタクシが勝てば婚約を破棄の上に殿下に仕えている侍女を貰い受けますわ」
「何だとっっ。また女性を侍らせる気かっっっ」
「何をバカな事を、殿下は女性を何だと思っていらしたのかしら。殿下に仕える侍女方は確かに少数精鋭ですが、そのせいでお肌も髪もみなボロボロ。とても年頃の娘さんには見えませんわ。ワタクシが勝利した暁には、彼女達を短期間で磨き上げてみせますわ」
なんつー下種な王子なのかしら。
力に物を言わせて女生徒婚姻を結ぼうとするなんて。
その上、自分が女性にもてないからって(彼女の頭の中での変換)強引に結んだ婚約を解除しようだなんて。
更に、自分の侍女は少数精鋭とか抜かして、肌の手入れも髪の手入れも儘ならないほど働かせているだ。
下種いわ~~~~~~。
私は胡乱気な視線を第二殿下に向けて、さらに記憶媒体を取り出して一連の出来事がしっかり記録されたことを確認する。
-----------絶対に、王妃様と姫様に告げ口してやるぅ。
そして仕置きされるがいい。
私だとこの第二王子と全く面識ないし。
王妃様と姫様だったら、見事なタッグで完膚なきまでに第二王子を潰してくださるわ。
と、階下を見れば王子を見つめる女生徒達の顔が険しい。
誰もが私と同じ感想を抱いているようだ。当然だ、こんな女の敵。
ああ、踏みにじってやりたいわっ。
と、鼻息荒く階下を見つめていると戦いのゴングが鳴り響く。
カーンッッッッッッ!
始まる試合。やっぱりプロレスだったか。
しかし、誰もが疑問に思っていないらしいな。
私もだけど、この惑星でプロレスが流行ってるなんて知らなかったわ。
手に汗握る素晴しい試合にドキドキと心臓が高鳴る。
令嬢は兎に角強かった。
どれぐらいかというと、第二王子の追撃を物ともしないぐらいに。
「なあ、エイプリル。令嬢ってやり手なのか?男にあの格好で勝負を仕掛けるなんて。だって見てみろよ、殿下の顔の横に胸が当たってるだろ?普通の男なら嬉しくて鼻血もんだろうが」
と、隣から声が聞こえる。
ちらりと視線を声のするほうへと馳せらせると一組の男女が、手すりに持たれかかって試合の様子を見ていた。
制服を着ていることから、学園の生徒だろうなと思う。
「いいえ、やり手ではない。ヨネ様は天然+脳筋なんだ」
「は?」
「確かに殿下の顔にヨネ様の横チチが当たるわ、むっちり太ももに挟まれてあの殿下だって天国を見るでしょうね」
「女が横チチとかむっちりとか言うな!」
男子生徒が赤くなって、女生徒に食いつけば綺麗な顔立ちだが無表情の少女は淡々と答える。
「何を言ってるのかしら。私の知り合いの女性や、女子高の生徒達はみなそいう。イヴァンはバカだな~」
「バカはお前だ。つかお前の知り合いと女子高生って一体なんなんだ~~」
「城勤めの姉と、姉の友人とその友人の妹の女子高生一団かな」
「・・・・・・お、俺の・・・・女性像が・・・崩れていく」
「勝手に崩れていく女性像ならそれまでだ。良かったな~、若いうちに女性と言うものが良くわかって。これで、幻滅せずにすむじゃん」
じっと女生徒を見ると、どことなく城努めの女官を思い出すような顔立ちをしていた。話し方もドコとなくそっくり。あと、ヨセフィン様をヨネ様と呼ぶなんて・・・・誰かを思い出してしまうわ。
・・・・まさかね~。
「大体ヨネ様のあの姿を見て、イヴァンは欲情しないわけ?」
「女の子が欲情いうなっっ」
「つか、顔を真っ赤にしてなに力んでるんだか。これだからDTは」
「ああっっ」
「DTをDTと言って何処が悪いのよ。大体、あのむっちりとした太ももに挟まれてみたいとは思わないのか?フライングボディアタックなんて、喰らい所が悪かったら乳が顔に当たるんだぞ」
「・・・・・・嬉しいのか?それ」
「嬉しいに決まってる、第二王子と変わって欲しいくらいだ」
「・・・・・お前、言葉遣いも子女として残念だけど、性格も物凄く残念だな」
「DTには想像も付かない世界だ」
「デカイ声で女がDTDT叫ぶな」
「叫んでるのは君だよ。恥ずかしいな、謝りたまえ」
「悪かったな・・・・って、何故に、俺???」
「男女の会話で食い違いがあった場合、謝るのは全て男性のほうだ」
「え?納得いかないんだけど」
「世の中は理不尽で出来ているものだ」
「・・・・・・お前がいうな」
と、いろいろな情報を提供してくれてるカップル。とても微笑ましく見守ってやろうって気になるわ。じっくり二人を眺めてから視線を外して、試合会場へ視線を戻す私だったw
僅かな間、令嬢から視線を外してしまっていたが試合展開は始終彼女に有利でしたw
ドロップキックから始まり、フィギュア・フォー・レッグロック(4の字固め)で終わるまで。
鮮やかな戦いっぷりで。
王子のバックハンドチョップをものともせず、反す手でネックホールドに持ち込み顔面を膝打ちしたあとスタイナーズスクリュードライバーを決めたり、フライングニールキックが炸裂したり。
ええ。
ええ。
ええ。
とても見ごたえのある試合でした。
生前(転生前)、プロレスでここまで見事な試合を見ることが出来るとは思いもよりませんでした。
ヨセフィン嬢は頬にかかる髪を後ろへと手で梳き流す。
頬は戦いの余韻か、うっすらと紅い。
ピンクサファイヤの瞳は心なしか潤んでいるようにも見えます。
何故、つぶさに見えるかと申しますと私もこの惑星生まれの身体を持っているからと、種族のせいですね。
さて、突然ですがこの惑星には魔法と剣があります。無論、格闘も。
プロレスがあるとは今の今まで知りませんでした。
でも、魔法は惑星と相性が良くないのかあまり強いものは発動できません。
魔導師長でも、惑星を破壊するほどの魔力はありません。どちらかというと、魔道具開発に重きをおきます。普段使う魔法は、精霊魔法で相性のいい精霊以外は、だいたい様々な土下座を披露して属性に分かれて精霊から魔力を分けていただきます。
勿論神聖魔法などというものは、この惑星には存在しません。
変わりに、他次元や遠方の他惑星からの転生者にはギフトというものがつきます。
誰が、どれだけのギフトを貰っているのかは本人以外は知りません。
私のギフトは背後を見る力と、アロマティックな癒し、同調とそして艶出しです。
日常生活に必要かどうかは微妙なギフトですが、姫様と旦那様からは重宝されています。
特に、アロマティックな癒しは。
側にいるだけで癒されていくのですから。仕事に忙殺されているときは、本当に重宝されますの。
と、横道に話がそれている間に試合の勝負はついたようです。
ヨセフィン嬢の圧勝でした。
長い髪を掻き揚げて、令嬢は負けた殿下に宣言しました。
「ワタクシの勝ちですわ殿下」
「・・・・・・」
「先程の婚約解消の件はお受けいたします。でも、ワタクシが勝ったのですから、願い事を聞いて・・・・って」
第二王子は、試合直後に両手をリングについてORZの格好をしていましたけど、令嬢の話の途中で、がばりと身を起こすと令嬢の身体を肩に担ぎ上げ、猿の如くリングをびょんと飛び降り物凄いスピードで体育館を走り去ってしまったのだった。
「ほえ、ぎゃ~~~~~~~~~~~~」
後に響く、女性とは思えない悲鳴。
唖然となる私と、体育館に残っている生徒達。
そして、先ほどまで女生徒に口で負けていた男子生徒がぽつりと言う。
「なあ、エイプリル。まさかだよな」
「いやそのまさかだよ、イヴァン君。女性に多少もてても実際触れあいがなかった殿下だ。試合途中で辛抱たまらんくなって、試合終了とともに令嬢を私室へ連れ込んだに違いない~w」
「・・・・・・・・。」
「多分、妊娠するまでは出てこないと思うし婚約破棄ではなくて、結婚発表になると思う~」
「・・・・・男の純情をもてあそびやがって」
「そんなわけないじゃない。さっきも言ったでしょ。令嬢は天然+脳筋なの。結末のこともこれからのこともな~んも考えていないってことさ~」
と、女生徒はあっけらかんとのたまった。
女生徒の言ったとおり、第二王子はそれから暫く私室から出てこなかった。
無論、王子の部屋にはいることも扉をぶち破ることもできなかったのである。
更に、婚約破棄の話は楽々お流れになって王子が部屋から出てきて、王城へ足早に戻ると3ヵ月後に結婚する運びになったのでした。
その上、殿下の好きな人のクラリッサさんってどうした。
普通婚約破棄ってさ~一人でするもんじゃないと思うんだけどな~。
「ってことが合ったんですよ、王妃様、姫様」
「あのすっとこどっこいそんなことをしていたのね。いいわ、私がきっちりと〆て差し上げやがりますわ」
第二王子が室内へ篭った初日、私は微に入り細に入二人に報告しました。
天使のように愛らしい私の姫様は、その可愛らしい顔に黒い喜色を浮かべると近衛騎士団長と王妃様を交えてなにやら企てている様子でしたが、その後について私は王子に何があったのか知ることがありませんでした。
ただし、王子の結婚についてとんでもない身体機能が城勤めの女性にばらされて、王子は結婚以降全くもてなくなったことだけ記載しておきます。
実は、ヨセフィン嬢は主人公の転生前の祖母。
趣味はプロレス観戦。亡祖父と共に技もとても詳しい。
孫の死後、大好きなプロレスを観にいった後心臓発作で亡くなりました。
孫にも祖母にも転生前の記憶があるという設定ですが、祖母側が書ききれませんでした。
生前の祖母の仕事はエステティシャン。
現世でもその腕は確かで、彼女に信奉する人は多かった。何せ、肌も髪も若返らせてくれる上に、服からトータルコーディネートでき、性格の悪い男性を撃退できるので。