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家に帰りたい

作者: ピヨ子

私の名前はレオノール。

前世持ちのおうち帰りたい系女子だ。

変なことを言ってることはよくわかってる。

誰でもいいから私の話を聞いてくれ。



なぜおうち帰りたい系女子なんて自称してるの?というと学校から全然おうちにかえれないからだ。

入学した当初は全寮制なんて余裕でしょ、とかなめた発言をしてたせいかもしれない。

入学して一ヶ月後、私は完璧ホームシックになっていた。



優しかった父。

暖かかった掛け布団。

天然だった母。

お気に入りだったタオルケット。

毒舌な妹。

夢の世界へと連れていってくれた毛布。

すべてが懐かしくて、恋しい。



もともとおうちダイスキーで外出は基本学校と自分の家の往復のみ、土日?もちろんベッドですけどなにか?な女子高生だった私。

気づいたら赤ちゃんになっていたけど寝てるだけだし、まあいっかなんて発想のダメダメ人間にはこの状況は耐えられなかった。

お布団達は家のほどぬくぬくしてないし、何だかんだ勉強とかしてたらそれなりに時間は遅くなるし。

子どもは8時には寝ないとだよ?

大人になってもそれくらいでいたいよ?

なんでむしろみんな大丈夫なの?

強すぎじゃね?って思ったけどそれが普通らしい。

解せぬ。



しかし家に帰れるのは一年に5回程度。

どうしようか悩んでた時に噂が流れてきた。

その噂によるとどうやら私達の世代に急いで卒業を目指してる子が何人かいるらしい。



この学校は卒業の単位さえもらえればいつでも卒業していいよ、早めに社会貢献してくれたほうがこっちも助かるし、という感じの学校なのでテストとかに受かりさえすれば卒業、そして社会でも成人扱いされる。



そのとき私に名案が浮かんだ。

この流れにのれば私も早く家に帰れる!

早速その流れにのろうとその集団に話しかけた。

はやく家に帰りたいというわたしの理由もなかなかだったが、本が読みたいからとか独立したいからとか他の子の理由もよくわからないぐらいひどかった。

私が言うのもなんだが、こいつら社会で生きてけるのだろうか。



そんな私達がたくさんのテストを乗り越え、卒業試験も合格、家に帰るのももうすぐだという時に、母は凄まじいことを私に言ってきた。


「えっ、あなたは学園で教師として働くんでしょ?もう手続きは終わってるけど。そのまま働けてよかったわね」


家に帰ってゴロゴロしてそれから考えればいっかなんて思ってた私にとてつもないショックを与えた。

母の天然?が炸裂した瞬間だった。

教えるのは別にかまわない。

そうかまわないのだが、私の記憶だと教師は学生より帰宅が少なくなってた気がして訊いてみたところ本当だった。



思わず叫んでしまった。

「なんでやねん!!!」



母に聞いてみたところ、他のママ友に聞いたらもう他の子達は仕事が決まってて、私から何も連絡がなかったから学校にでも勤めるのかしら、と思ったらしい。



全く理解できない。

せめて私に手紙だすとかしてほしかった。

そういえばレオノールちゃん全然手続きしてなかったからママしといたよ、お礼はフトゥール地方限定のお菓子屋さんのチョコクッキーでいいからね、という後日報告の手紙は求めていなかった。

まずは確認してくれ、そう思いつつご丁寧についてた地図を頼りにクッキーを買いに行った。

天然な母だが、あの家の実権を握ってるのはあの人だ。

父は嬉々として尻に敷かれてる。

あの人に逆らうのはやめといたほうがいい。

諦めも肝心なのだ。



友人達に愚痴ったところこう言われた。

「どうせ一回家に帰ったら働く気がなくなってたと思うし、ちょうどよかったのでは?」

「家に帰っても布団にくるまってるだけでしょ」

何も言い返せない自分に情けなくなった。



しかし学園の教師になることは認めたからといって、おうち帰りたい系女子な私はそう簡単に諦めるつもりはない!

家に帰るための休みを下さい。

家に帰りたいよ、切実に。

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