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晴海との、出会い。また、別れ。

ちょこちょこっと読んで、あっ、面白いなっておもっていただけたらと思います。


政府は少子高齢化問題についてちょっと考えた結果、ある新しい施設を設立した。〝少子高齢化対策本部(仮)〟てか政府テキトーすぎんだろおい。(仮)なんかつけてよ、どっかのゲームかよ。



この名前だけの施設は政府が試しに全国各地の高校生でランダムに選ばれた男女を2人きりにして一つの部屋に監禁しその男女が恋愛関係になればいつか結婚。そして子供できる!みたいな政府からしたら「まぁ、お試しだし?失敗してもいいや笑」みたいなノリで作られた施設だ。

選ばれたこちらからしたらいい迷惑なんですけどね。

「おい、早く部屋はいれ。」

ごっつい監視官みたいなやつに促され、俺は部屋にはいる。

ないもない部屋だ。そこにあるのはポツンと二つの布団、そして端っこにトイレ。トイレはもちろん個室になっている。

そして、布団の中には幸せそうな顔で眠っている女の子。

「フフフフ」

なにのんきに寝てんだこいつ。

「おーい、起きてください!おはようございますー!」

「アンタ、ダレヨ。」

「山際幸太郎です」

「コウタロウネ。」

なんでカタコトなのよアンタ。

「ウチ、サカモトハルミヨ。」

「晴海さんね。」

「ソーヨ!ソーヨ!」

あー、この人自分どういう状況かわかってねぇ〜な。

黒髪のカタコト少女はキラキラした笑顔で俺を見つめてくる。

「なんで晴海さんはカタコトなんですか?」

「いや、なんとなくアルヨ。」

なんかもうどうでもいいや。

「ていうか、さん付けやめろアルヨ。」

「いや、普通今日初めて会った人の名前を呼び捨て出来ないだろ。」

「そういえばそうアルネ。」

天然というか、不思議というか、なんかすっげぇめんどくさい。

「じゃあこれから晴海って呼ぶからな。」

「わかったアルヨ、コウタロウ。」


こうして俺たちのぐだぐだな生活は始まっていくのだった。


この部屋には一つ窓と言うかベランダというか、中途半端なスペースもある。流石にずっと室内では空気が悪くなるのと、すこしは外へ出してあげようという感じだろう。

僕は翌朝、カーテンを開き朝日を浴びていた。

そこはなんともいえない、綺麗な景色でこの建物は横に長く、ちょうど一番端の一番上の階だった。3階建てというところであろう。横を見ると隣もベランダがあった。じゃあお隣とお話しとかできんじゃね?

「なにしてるデス」

あ、またキャラが変わった。

「晴海、そろそろキャラを統一しようか。」

「幸太郎はなにがいいの?」

と一転変わってプクッと頬を膨らませ可愛らしい表情で俺を見つめる。

正直晴海は普通にかわいいのだ。

「それ。その普通がいい。」

「イヤデース、忘れたデース」

勝手にしろこの美少女が。

「コウタロウ」

「なんだよ」

「例えば、炭酸水に醤油を混ぜたらどんな飲み物になるデスか?」

「それは果たして飲み物なのだろうか?」

「じゃあ、飲み物と仮定するデース」

「例え調味料でもやだな」

「コウタロウはバカデスね」

こいつにだけは言われたくない言葉だな。

「炭酸水は飲み物デース、醤油は調味料デース。ということで、結局、飲む調味料ということで話が丸く収まるデース」

「収まんねーよアホ」

「まず、晴海が飲み物って仮定したんじゃねーか」

「コウタロウはまだあまちゃんデース。あくまで仮定デース」

じゃあなぜ仮定したんだよ。

晴海は幸せそうな顔をしていた。

もっとこいつのことが知りたいと早くも思った。

「コウタロウはバカデース!!」

あ、やっぱさっきの取り消して。


こうしてなんやかんやで一週間が過ぎる。ここの施設には一年間いるこになる。最初は長いと思っていたが、晴海と過ごす時間は楽しくてあっという間に一週間がすぎていた。


この施設は朝昼晩とご飯が用意される。毎日決まった時間に監視官みたいな人が来て食事を置いて行く。と、同時に晩飯の時には着替えも用意され、風呂はトイレと一緒になっている。と、いってもシャワーと足曲げて入れるぐらいのちっこい浴槽だ。ケチんなアホ。

「晴海」

「なんデスか」

「風呂先入るか?」

「コウタロウも一緒に入るデース」

「イヤだ」

これはいつものやりとり。

本当は喜んで一緒に入りたいのだが、なにせ浴槽が小さすぎる。

「先入るぞ」

「わかったデース」

さてと、一人の時間を楽しむか。

ザッパァーンと小さい浴槽に大袈裟過ぎる波が立ち、水がこぼれる。

ガチャ

は?なにこの音。いや、入ってくんなよ晴海。

「コウタロウー!!!」

「どぅぐぁはぁっ!」

「入って来ちゃったデース」

いや、なにそのてへぺろみたいな表情。そんなんで済まされないし!

「晴海は男の子に裸をみられても恥ずかしくないのかっ!」

幼い胸が何故か儚げだ。

くびれたお腹に、ぷっくらとした太もも。でもなんか胸は幼い。

「コウタロウは恥ずかしいデスか?」

「うむ」

「ウチ、恥ずかしくないデス」

そういう問題じゃないなコレ絶対。

「もー!あがるし!」

「コウタロウ!あんなことやこんなことしないデスか?」

「し、し..ないわボケ」

「コウタロウ、スケベ。マンザラデモナイデス」

ギク。うるさいこいつ。

「お前が言ったんだろ!」

「ヘンタイ」

あーもういい!

「あー、もうあがる」

俺は体を拭いて着替え、布団の上に座る。冷静になれ。俺。あぁー!もう!晴海が頭から離れない。

開けっ放しの窓からすこし、肌寒いような、心地よいような風が肌をすり抜ける。

「はぁ....」

月が綺麗だ。

俺は晴海という不思議な少女に出会ってしまったのか。不幸か、幸か。少なくとも不幸ではないのではないか。そう、晴海と出会って2週間ほどの俺は思った。


さて、そんなこんなでコイツとのグータラLIFEも平和に続いているわけだが....。

「コウタロウは私に興味が無いデスか?」

君は急になにを言い出すんだい?

「なんだよ急に」

「だって、コウタロウはウチと生活しててもう2ヶ月過ぎようとしてるのにチューとかなんにもしてないデス」

「じゃあ晴海はしたいのかよ」

冷静に冷静に。ここで慌ててはいけない。変態になる。

「コウタロウのバカ。ウチはコウタロウのこと好きデス。コウタロウはウチのこと嫌いなんデスよね」

「は?どうしてそうなる!」

「コウタロウなんかもうキライデス!コウタロウのバカ!」

......なんだよこれ。

確かに一緒にいる時間は長いけど手を繋いだりすることなんて全くなかった。

晴海はそれを気にしていたのかもしれない。俺も晴海の事は好きだ。でも恋人になりたいの好きなのかどうかなんてわからない。晴海は好きと言ってくれたけどそれはそういう好きなのか?わからない。とりあえず、晴海と仲直りしないとだめだ。

晴海は布団で丸まっている。ないているのだろうか。

「ごめんな、晴海」

俺は聞こえるか聞こえないか程度の声でボソリとつぶやいた。

夜中、俺は尿意を感じて目が覚めてしまった。あれ...晴海がいない。

慌てて周りを見回すと、ベランダの柵に晴海は立っていた。

「は、るみ?」

「コウタロウ?」

「危ないだろ!早く降りろバカ!」

「わかったよ、コウタロウ」

神様のいたずらか何かしらない。その時強い風が吹くなんてそんなの誰も知るはずがなかった。

「晴海!!!!!!」

月光に反射した晴海の涙が俺の顔に落ちる。

「コウタロウ!!まだっ!!!」

晴海はさっき泣いていたんだろう。

なんでだろう?きっと俺のせいだ。

遅かったのかな、気付くのが。俺にとって晴海は恋人になりたいの好きだってことに。

晴海は俺に涙だけを残して落ちていった。



読んでくださりありがとうございます。

ちょこちょこまた読んでくださいね。

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