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白球を追え  作者: クロ
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第3章



「どうしたの、それ?」


翌朝腫れあがった平太の顔を見て佑介は驚いて尋ねてきた。


「ちょっと熊と相撲をとって来た。春先の母熊は小熊を連れているから凶暴になってるから強いのなんのって……」


「へえ、ほどほどにね」と冷淡に返す佑介。それ以上は追及してこなかった。

昨日もそうだったが佑介は人の機微に敏い。平太の「聞かないでくれ」という形で言った冗談の意図を理解してくれる。それが今の平谷はとてもありがたかった。


放課後佑介と「どこかに遊びに行こう」「その顔で遊びに行くの?」「え? そんなにヤバイ?」「うん。ヤバイ」とかいうやりとりをしていたら今最も関わりたくない人物の声がした。


「すみません。第2グラウンドって何処ですか?」


振り返ると案の上斎藤一輝が頭に花が咲いてるんじゃないかというくらいのノーテンキな顔をして立っていた。

それを見て平太の表情は険しくなる。

「パンフレット見ろって言ったよな?」


幾分棘のある言い方だったが一輝はそんなこと気にしていない。


「いや~、俺方向音痴でよくわからないんです。その上仲間ともはぐれちゃって……。だからタッちゃん、南を第二グラウンドまで連れてって?」

「誰がタッちゃんだ! そしてお前が南って……ああ! どこから突っ込んだらいいのかわからん!」

「あはははは! 君平太の弄り方を良くわかってるね」


平太がツッコミを入れ佑介は大笑いしている。


「……悪いな。今日はこいつと先約があるから――「連れて行ってあげなよ」――てうおおおい!! 何言ってんだバカ野郎!?」

「ありがとう! 見知らぬセンパイ!」

「困った時はお互い様だよ」

「オレの意思無視して話進めんなよ!」


平太はあの手この手で案内役から逃れようとしたが、佑介の伝家の宝刀(脅し)によって逆らう事が出来なくなった。


「それじゃあこれが俺のメアド。また何かあったら連絡してよ」

「はい! 藤堂さんが面白い事やらかすたびに連絡入れます!」

「入れんな!」


なんか仲良くなってやがる……。オレの安息の地って何処にあるんだろう……。


□■□■


第2グラウンドというのは校舎の脇にある坂道を降りた場所にある。一見するとわかりにくいが、坂を見つけてしまえばあとは一本道なので迷う事はまずない。

その坂を下りて野球部が練習しているであろうグラウンドの入り口の前に一輝を置いてさっさと立ち去ろうとした。


「はい、着いた! 終わり! サイナラ!」

「まあまあ。ここまで来たんですから練習も見ていきましょうよ」

「知らん。断る。絶対い・や・だ!」


断固と拒否する平太だったが、一輝はそんなことはお構いなしに平太を担ぎさっさとグラウンドに入っていく。約20センチの身長差を平太は心底呪った。


「いーやーだーっ! はーなーせーっ!」

「はいはい。我儘言う子は置いていきますよー?」

「我儘じゃねえ! っていうか置いてけーっ!」

「我儘じゃないんだったら置いていく理由はないですよね? それじゃあレッツドン!」

「ひーとーさーらーいーっ!!」


平太は必死に抵抗したが、一輝はまったく堪えない。

そのままグラウンドに連れ込まれる平太。連れ込む一輝。

平太を抱えて走る一輝は凄くいい笑顔をしていたと後に野球部員は語る。


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