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強くなるぞ!! ⑦ お前も拳法使いにならないか?

今回の話は感動系です!! ハンカチ必須ですよ!!

ゴブリンは鼻で笑いながら、軽々とかわす。


カイルは地面に滑り込み、少し泣きそうになりながらも、もう一度飛びかかった。


しかし、またしても避けられる。


ーーだが、今回は違った。


カイルはゴブリンの動きを見極め、タイミングを合わせると素早く棍棒を奪うことに成功する。


「おっしゃ!!」


それに動揺したゴブリンは、じっとカイルを見つめていた。


「ゴブ、ゴブ.....」


ゴブリンが少し警戒しながら何かをつぶやく。


カイルは棍棒を構え、ニヤリと笑った。


「おいおい、どうしたゴブリン?お前はその程度なのか?ええ?」


煽るカイルを見ていた冒険者とゴブリンたちは、微妙な空気に包まれ、いつの間にか戦いを忘れていた。


「おい、あいつゴブリンにマウント取ってるぞ......。」


「あんな冒険者初めて見たわ。冒険者としての誇りとプライドがないのね。」


「ゴ、ゴブ.....」


エリーゼは恥ずかしそうにカイルを後ろから見ていたが、当の本人は気づいていない。


カイルと目の前のゴブリンは睨み合う。


そして、いきなりカイルは棍棒を片手で振り回しながら、勢いよくゴブリンに襲いかかるーー


だがすべて空振り。


「な、なんで当たらねぇんだ!?」


カイルは苛立ちながらさらに棍棒を振るが、ゴブリンはひょいひょいと軽快に避ける。


そして次の瞬間ーー


「ゴブ。」


ゴブリンは軽く踏み込むと、容赦なくカイルの腹に一撃を叩き込んだ。


「ぐっ......!!」


カイルは吹き飛ばされ、地面に膝をつくが、すぐに立ち上がった。


「や、やるじゃないか。」


カイルが息を整えながら言うとーー


ゴブリンは真剣な表情で拳法の型を披露した。


一連の動きは洗練されており、まるで武術の達人のようだった。


そしてーーカイルの方へ腕を向けると、手をくいっくいっと動かす。


周りにいた冒険者たちは驚き、まだ戦いを忘れていた。

  

「なんなんだよ。あのゴブリン。拳法使いのゴブリンがいたなんて聞いたことないぞ.....」


「ゴブリンが.....強者の風格を持ってるなんて.....あれはきっと特別なモンスターに違いないわ!!」


一方、ほかのゴブリンたちは誇らしげな態度をとっていた。


「コブ!コブ!」


まるで仲間のゴブリンを称えているかのようだった。


だが、カイルはそんなことを気にしている暇はない。


カイルは棍棒を構え、地面を蹴る。


「俺の英雄の道への第一歩となれー!!」


そう叫びながら勢いよく走り出し、ジャンプして棍棒を振りかざす。


狙いはゴブリンの頭


しかしまたも避けられる


「ちくしょー!!」


カイルの棍棒は勢い余って地面に叩きつけられ、その衝撃が腕に直撃する


「痛ってぇぇ!!」


カイルは膝を地面につけ、苦しげに顔をしかめた。


ゴブリンは余裕の態度で腕を組み、勝者の風格を漂わせる。


それを見ていた周囲のゴブリンたちは 腕を上げ、仲間を応援し始めた。


「ゴブ!!ゴブゴブ!!」


カイルは歯を食いしばる。


「こ、これが厄災か.....俺にはまだ力が足りなかったのか......」


カイルは拳を握りしめながら荒い息をついた。


体は重く、足は思うように動かない。


全力で戦ったはずなのに一ーそれでもこの圧倒的な壁に弾き返されてしまう。


彼はうつむき、肩を落とす。


静まり返った戦場。


冒険者たちも一部のゴブリンたちもカイルの様子を見守っている。


「俺は......ただ、強くなりたかっただけなのに......」


カイルは悔しさに眉をひそめ、拳を握りしめた。


その手が小さく震えている。


深く息を吸い込みながら、じっと地面を見つめるーー。


その時だった。


「頑張れ!!諦めたらそこで試合終了だぞ!!」


「そうよ!!強くなりたいなら限界を超えなさい!!」


その声が戦場に響いた瞬間一ーカイルの心にかすかな火が灯る。


ゆっくり顔を見上げると、彼の瞳には新たな光が宿っていた。


まるで燃え上がる炎のように、その光は確固たる決意を映し出していた。


「だが、俺は俺の責務を全うする!!」


声は以前よりも力強く、まるで新たな境地に踏み込んだかのようだった。


日差しが彼を照らし、その姿はまるで物語の英雄そのものだった。


そしてーー


カイルとゴブリンは互いに構えた。


「この一撃で決める!!」


「ゴブ!!」


ゴブリンも低く構え、両腕を広げる。


強者同士の決戦一一その気迫が、周囲の空気を完全に変えた。


冒険者たちは息をのんで見守る。


ゴブリンの仲間たちも静かに見つめ、言葉を発することなくその戦いを受け止めていた。


静寂の中、風が吹き抜けるーー


そしてカイルは全速力で駆け抜ける。

  

「うおおお!!!」


カイルの棍棒がゴブリンの胴体へと一直線に向かう


ゴブリンは動かないーーただ待っている。


次の瞬間一ー


衝撃が炸裂した。


「ゴブゥゥゥ!!!」


ゴブリンはかわさず、両腕でその一撃を真正面から受け止める!!


カイルは全身の力を込めて棒を振るうーー

  

だが、ゴブリンは微動だにしない。


ゴブリンの腕には確かな力が宿り、まるで砦の壁のようだった。


「ぐっ.....!」


カイルは歯を食いしばりながらさらに力を込める。


両者の力がぶつかり合い、その衝撃は地面にまで響いた。


冒険者たちは思わず目を見開く。


ゴブリンの仲間たちは拳を握りしめ、戦いの行方をじっと見守る。


そして一ーここからが本番だった。


カイルは喉の奥から力強い叫びを響かせた。


「まだだ....まだ俺は終わっちゃいない!!!」


その声はまるで 戦場全体に響き渡る雄叫びのようだった。


彼は全身に燃え上がる力を込め、棒をさらに強く握る。指先が白くなるほど、その力は強く、そして迷いなかった。


「これが.....俺のすべてだぁぁぁ!!」

読んでいただきありがとうございます!!いいねと感想待ってます!!

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