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番外編1-3

        

  

 大通りを疾走する泰斗の赤いスポーツカーがカーナビの案内通りに左へ曲がる。途端に猥雑とした小道になった。

 左右には路地がいくつもあって迷路のように入り組み、団地やアパート、商店が立ち並んだ間には児童公園もあって、道の端にはしゃぐ子供たちの姿が多く見られた。

 必要以上に安全に気を遣わなければならず、舌打ちしながら泰斗はハンドルを操作する。

「ちっ。くそっ、狭いな! こんな面倒くさいのも元はと言えばあいつが電話に出ないからだっ!」

 あれから、何度か圭司に連絡を取ろうとしたが、すべて無視されている。

 休日に行ってもいつも留守――いや居留守か――で、家にあまりいなかった伯母も、今はずっと家にいて目を光らせていた。

 高い情報料を払い、『カナコ』のママから聞いた美土里の現在所を圭司に伝えようと画策していたのに。

 こうなったら、こっち側から攻め込んでやる。

 男ってやつは、ほとぼりが冷めれば、また愛人に興味を持つもんだ。なんたって、その肉体をもう知っているんだからな。花恵の妊娠中がそのチャンスだ。そして今度こそ、彼女に愛想を尽かさせる。

 泰斗はにやりと口角を上げた。

 そのためには美土里を探し出して、あいつを(そそのか)すように仕向けなければ。また金になると言えば、あの女(美土里)のことだ。今度もうまく(たぶら)かすだろう。

「それにしても狭い道だな。ガキも多いし」

 大通りのようにスピードを上げてはいないが、歩行者にクラクションを鳴らしながら、徐行することなく走行する。

 ナビの矢印は美土里の住むアパート名を何筋か先にある左の路地を指していた。

「ちっ、さらに狭いところへ入るのか――」

 何度目かの舌打ちをした時、泰斗の目の前に勢いよく赤いボールが飛んできた。

 フロントガラスをばんっと激しく叩かれ、驚いた泰斗は咄嗟(とっさ)に左へ急ハンドルを切った。



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