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化生奇譚  作者: 菅ノ原 輝夜
望月の章
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望月の章 第八話 (湯浴みで心解け)

「あ、珠月さん……お夕食を待つ間に湯浴みでも済ましませんか?」


「あ……えーっと、先に緋夜さんからどうぞ」


「珠月さんもご一緒に……」


「いえ! 私は緋夜さんの最後で大丈夫ですよ!

それにもう少しこの部屋を堪能したく……」


「わ、わかり……ました。

では……行ってきますね」

少し寂しそうに微笑み―彼女が部屋を出る。


疲れたぁ――人と会話するのがこんなにも疲れるとは思いもしなかった。

ごろんっと体を仰向けにして寝転がる。

ここに来てから一日も経たずに目的の家系に近付けるとは、来た頃の私では想像もしなかっただろうなぁ――。

後々何かありそうで怖いけれど―さて、整理をしよう。


つい先程湯浴みへと向かった彼女―望月緋夜さん。

彼女は「望月家」と呼ばれる、ここを治めている家系のご令嬢?。

ご令嬢だとしてもなぜ手枷足枷がつけられていた?

それに見える箇所しか確認出来なかったけども火傷の痕が痛々しく残っていた。

あと気になる所と言えば土地勘が無い事かな。

自身の住んでいる土地なのに何も知らないとなると、箱入り娘の可能性を考えたけど明らかに違う。

そうなると、可能性は一つしか無くなる。


「やはり幽閉……されていた?」


部屋の襖を開ける音がした。


「珠月さん……ただいま 戻りました〜」

満面の笑顔で丹前(たんぜん)を着た緋夜さんが帰ってくる。


「おかえりさない。随分と長く入られてましたね…?

それと……手に持っているモノは?」


「はい! 露天風呂というものでして…お月様の下での湯浴み格別です!

今なら誰もいないので独り占め出来ます!

あ、これは……その…美味しいお酒があると勧められたので……」

一升瓶を抱えて照れくさそうに笑う。

成人済だったのかと驚かずにはいられない。


「せ、成人済……だったんですね」


「あれ? 言ってませんでしたか……?

私、二十五歳なんです」


「にじゅうご……さい????

てっきり……十九歳くらいだと思って…ました」

年上には見えにくいけど物腰と言うか何か引っかかって年上だろうと思っていたけれど、二十五歳とは思わないだろ。

それにしても顔立ちが幼過ぎる―これが童顔というものなのか。


「珠月さんのご年齢は……?」

興味を持った顔でこちらを見つめる。


「わ、私は…………十七歳です」

内心、あまり言いたくないなぁと思いつつ断る理由も無いので答える。


「十七歳だったのですか!てっきり同い年くらいと思っていました!

だ、だって……すごく大人びていたし…凛々しいので」


「そう言われると……照れますね。

あっ……いけないいけない、湯浴みに行ってきますね。

緋夜さん…私が帰ってくる前にお夕飯が来ましたら、先に食べていてください。

お料理が冷めてしまうと申し訳ないので……」

そう告げて、部屋を出る。


部屋を出る前に緋夜さんが何か言いかけたけどーまぁ良いかな?

早めに済ませよう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


天然露天風呂ーと書かれた看板を見つけて扉を開け入る。

脱衣所でちゃっちゃと服を脱ぎようやく湯浴みが出来る。

広々とし空を見上げると黄金色の月が輝き照らしている。

水面が揺れプカプカとアヒル?が出てくる。


「なぜアヒル」

ツッコミを入れてしまった。恥ずかしいが誰も聞いてないから良いかと開き直った。


じゃなくて、髪と体を洗うんだったーアヒルに気を取られてしまった。

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