望月の章 第十三話(刺客)
「ひっさしぶりに暴れちゃうわよ……。
紅月の化物を襲うなんて…身の程を知りなさい。」
この獣たちは分霊ね………核を壊せば良い。
それに必要なのは「刃物」
近くに無い……わね。
さて、どうしたものか。
「紅月様!」
「なに!今どうやって核を壊そうか悩んでんの!
話しかけないで!」
刃物無しでもいけるけど…腕を折っちゃうかもしれない。
仕方ないかも……腕を折ってでも核を壊さなきゃ。
姿を変えれないし……不利ってこういう事?
うんん…今はそんな事は考えないでとにかく、目の前の獣をどう倒すのかを考えろ。
ちょこまかと動き回って…理性は吹っ飛んでるはずなのに!!
知性は残ってるって事?いやらしい奴らね!
珠月って子達は襲わなさそうね……狙いはアタシ。
厳密には緋夜って子ね。
「鬱陶しいのよ!」
足や手に付いたままの枷が…邪魔過ぎる!!!
蹴りをいれたいのに足が重い…。
それに妖力を少しずつ吸ってる!?
前はこんな仕掛け無かったのに!!!
あの外道共………。
「紅月様!
この脇差を!!!!」
どこから持ってきたのか…茎と刀身丸出しの脇差を投げ飛ばす。
白銀が煌めき…弧を描きながら紅月の背後の畳に突き刺さる。
茎むき出しの脇差を手に取ればどうなるかは想像出来るが、そんな事は関係ない。
今は……獣達を倒すことだけを考える。
「ありがたい……
如何せん身体が鉛みたいに重たいからね。
コレで…突き刺してやるわ!!!」
後ろに躱しながら茎むき出しの脇差を手に取る。
手の内側に突き刺さるような痛み。
血が刀身へ流れ落ちる。
「人に在らず妖に在らず…どちらでも無いモノからの贈り物さ。
たんまり味わっていけよ!!!」
獣の核に目掛け突き刺す!
核は………首!!!!!
「っ……突き刺しじゃ足んない…首を確実に断ち斬らなきゃダメみたい……ね」
突き刺しじゃ上手く壊せない…。
剣先が欠けそう…、核は分かるのに…首の中……声帯部分にあるのに!
首の中…硬い殻に守られてる!!
「知性のおかげ…?
それとも外道共の強化のおかげか知らねぇ!」
大きく振りかぶり獣の首を断ち斬ろうとする。
前は硬くても横は脆いはず!!