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化生奇譚  作者: 菅ノ原 輝夜
望月の章
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望月の章 第十話(酔える鬼魅)

スミレの間近くまで帰って来れた。

正直に言うとのぼせた。あひるちゃんとの会話は良かったけど、温泉の温度が私には少し熱かったみたい。

それよりもスミレの間から話し声が聞こえるような?

なにはともあれ戻りますか。


「ただいま戻りま………」

扉を開けるとムワッと日本酒の香りがする。

さらに頭がクラクラしそうになる、酔いそうになるが頬を軽く叩く。

部屋の奥から声がする。


「あははは!!

ヒヨコちゃんはおしゃべりやね!」


「緋夜……さん?」

フラつきながらも部屋の奥へ入る。

そこには―――――


「あー……おかえりぃ〜」

ヒラヒラ手を振る―ケモ耳と尻尾が生えた緋夜さん

機嫌が良いのか尻尾をユラユラ揺らしながら盃にお酒を注ぎ呑む。


「緋夜さん……そ、その……あ、え?」


「んー?

あー……私ねぇ〜ワンチャンなんだよぉ〜……んふふふ」


「ワンチャン……????」

どういう事だ――いや、ホントにどういう事だ!?

わんちゃん!?犬?!え???


「お帰りなさいませ……珠月様」

緋夜さんの座っている正面から声がする。

声がする方へ視線を移すと――。


「ひよこ……?」

ちょこんと可愛らしいひよこが一羽。


「ただのヒヨコではありません

わたしは付喪神なのです」


「付喪神……あ、お風呂場のあひるちゃんと同じ!」


「はい、あひるちゃんはわたしの後輩にあたります

長話に付き合わせてしまうのが少々……」


「あー……あひるちゃんとのお話は楽しかっ……うん

とてもマメになる話だったら大丈夫だよ?」


「そう言ってもらえると……こちらも嬉しい限りです」


この(ヒヨコちゃんしっかり者だ!!!!

あひるちゃんとは違う話が出来るかもしれない――。


「んー……わたしを一人にしゅるなぁ〜」

急に珠月の頬をつねる。


「いたたたた……ひぃほぉさん……いひゃい」


「あははは!」


「緋夜様……これで十杯目です」


「じゅーはいめ?!」

日本酒を十杯も呑んだのか?お酒が強いのか弱いのか分からない方だな――。


「まだまだ呑むぞぉー……珠月しゃんも呑みましょぉー」


「にゃら、はにゃしてくだしゃいよ……いひゃいですよ」


「んー………はーい」

珠月の頬をつねるのを止める。

少しだけつまらなさそうな顔をする緋夜さん。

緋夜さん――ホントに痛かったんです。


「緋夜さん……私はまだ十七歳なんですよ?

お酒なんて呑めま…ゴボボボボ!!!!」

問答無用で緋夜さんがお酒を呑ませてきました。

日本酒の苦味が一気に舌に伝わり喉に伝わり―胸に熱い液を流し込まれて溺れてしまいそうになる。


「ひ、緋夜様……珠月様がぐったりして……」


「えー?

んぁ!? 珠月さーん!!!起きてくださいー!!

お酒まだ残ってますよ!!」


「緋夜様! お酒の事は忘れてください!」

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