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【コミカライズ連載中】ドアマットヒロインは速攻終了いたします!【GOマンガ原作者大賞受賞作】  作者: 穴澤 空@4/11ドアマットヒロイン発売


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47:エステに湧く領地


疲れが溜まっていたのか、実は少々微熱が出た。

このくらい平気よ! とブラック企業社畜よろしく外に出ようとしたら、その場でギース様に抱上げられて、GO TO BEDという展開。

まぁよく考えたら、体調不良の人間が、医療の発達していない場所をふらふら出歩くことは、非常によろしくない行為だ。

なんという恐ろしくも愚かなことをしてしまったのか。


医療が発達していた日本ですら、それは忌避されるべき事だというのに……!

くっ……不覚!


そんなこんなで、体調不良も三日眠ってしっかり治った。

そこからさらに十日、家から出して貰えず、今日ようやく外出を許可して貰えたのだ。


「……ね、ねぇ。この二週間で、なんだか領地が賑やかなんだけど」


移動中の馬車で、私は向かいに座る侍女のオーテムに尋ねる。彼女は満面の笑みで、返してくれた。


「エステの効果です! スジューラク公爵夫人とモネイーヌ侯爵夫人が、ご一緒にお越しになって、大感激されまして。その話を聞いたスンデルネ侯爵夫人もすぐにお越しになり、そこからさらにラッキーヌ伯爵夫人やトリロコール伯爵夫人がご令嬢を連れていらっしゃり」

「な、なんてこと……! そんなハッピネスなことが起きてたのに、私ったら寝込んでいたの?!」


でもまぁ、いちいち領主夫人が挨拶に行かない方が、お忍び感があって良いのかもしれない。


「そこから、他の貴族夫人、令嬢、それに裕福な商家の方々がいらっしゃり、近くのレストランでお食事をしたり、ガラス細工をご購入されたり……」

「うん。確かにその報告は上がってきている。俺も確認済みだよ」

「ギース様っ! どうして私に教えてくださらなかったの?!」

「だって、教えたらあなたは屋敷を飛び出していたでしょう?」

「……ソノトオリデス、ハイ」


そんな私に、ギース様は笑いながら書類を手渡してくれた。


「実際に領地の活気を見てから、資料を見る方がワクワクするかと思ってね」

「ご配慮……!」


ありがたい。私が一番浮かれる方法を理解してくれているのだもの。

その書類には、この二週間のエステの売上げと、訪問客の顧客リストがあった。


正直に言うと……。


すごい。


この一言だ。

まず顧客が上は公爵夫人、下は──という言い方は良くないけれど──商家の店員までいる。

商家の店員は、おそらく商家夫人に連れられてきたのだろう。

これは早々に廉価版のサービスを用意すべきだ。


そう思ったタイミングで、ホテルに到着した。

馬車を降り、すぐにエステの施術室へ案内して貰う。その間ギース様には、厨房やレストランの方をチェックして貰うことに。支配人はそちら側。私はエステの総責任者を任せている、元タウンハウスの侍女キハーガと話をする。

キハーガは私を認めるとすぐに近付き、接客室へと案内してくれた。


「奥様、資料は」

「ええ確認したわ。この二週間、体調を崩していて見に来られなくてごめんなさいね」

「とんでもないことです。お体はもう大丈夫とお伺いしておりますが」

「安心して。あなた方に移すこともないわよ」

「そ! そんなことは危惧しておりません!」


慌てるキハーガに、疑ってはいないわよ、と笑って返す。

美味しいハーブティと、部屋に香るアロマの香り。


「香りはテッサ様の仕事かしら」

「仰る通りです。あの方の香りの調合は素晴らしく、公爵夫人にはその場で体調を伺ったあと、すぐにおすすめの香りを用意されていました」


想像以上の出来だ。

前世のエステでも、そうしたサービスをしているところはあったが、私が行けた安い店は、三種類くらいの中から「今日の気分を選んで」という程度だったからね。


「お茶は?」

「こちらは、領内のハーブガーデンのお嬢さんが、下のレストランで働いておりまして。そちらとこちらで別のハーブを提供してはどうかと提案が」

「それは素晴らしいわ! その方にも何か手当を出すようにしてね」

「かしこまりました」


部屋を出て、サロンの様子をそっと見る。ホテルの廊下もそうだったけれど、どこも丁寧に掃除がされていて、館内の空気がとても良い。


「最高ね」


最高潮の気分でいたときに、支配人とギース様が慌てた様子で私の方に合図を送ってきた。

このエステフロアは男子禁制にしているので、ギース様と言えど入ることはできないのだ。


「何かしらね?」


隣にいるオーテムと顔を見合わせて首を一つ傾げた後、二人が待つ階下へ向かう。

降りて早々、二人は私たちを囲むようにして支配人室へと連れて行った。

支配人の顔も、ギース様の顔も、どうも少々こわばっているようだ。


「ねぇ、何があったの?」


迷惑な客がいたとしても、この二人ならば簡単にあしらえるだろう。

ということは、そうした問題ではない。


扉が閉まったことを確認して二人に声をかけると、ギース様が私の両肩に手を置き、口を開いた。


「これから、王妃殿下がいらっしゃるそうだ」

「え……」


えええええっ?!


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