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39:美味しい紅茶とヌッカヌガー

「わぁ! 美味しい!」

「だろう? 領地で採れるヌッカヌガーの実の皮が入っているんだ」

「ヌッカヌガー?! うちの領地で採れましたっけ?」


ヌッカヌガーとはオレンジのような柑橘系の実の木なのだが、その実が成るのがとても早いので、収穫量が見込める果物だ。

ただし、土地を選ぶ。そして苗が高い。

その為、収穫量が見込めるといっても、なかなか大量生産ができないのが実情だった。


「実は、先日セルディオス小父上、つまり君のお義父上から、苗を頂いてね」

「まあ! ということは、スジューラク公爵領にはヌッカヌガーが?」


セルディオス・スジューラク公爵は、私の身元を引き受けてくれて、新しい義父となってくれた方だ。

ギース様のご両親とも仲が良かったということで、彼が小さい頃からかわいがってくれていたとか。


「いや、それがそうじゃないんだ」

「そうじゃない?」

「俺が小さいときには、ヌッカヌガーの木が公爵領にたくさん生えていたんだ。ただ、あの冷害で全て枯れてしまってな……。今のうちの予算では、ヌッカヌガーにまで手が出せないと思っていたんだが」

「もしかして、お義父様が」

「そう。結婚の祝いだから、と苗を十数本贈ってくれたんだ」

「すごい……」


ヌッカヌガーの苗の高さは、高級な宝石を十個買うのに値するとも言われている。

それを十数本だなんて……。スジューラク公爵家お金持ちが過ぎるわ。


「レダが以前農地改良してくれた土地に、試しに植えてみたら、想像以上に育ってね。今回初収穫となったわけさ」

「……もう! どうして教えてくれなかったんですか!」

「教えたら、レダがこっちにも興味を持って、忙しすぎて倒れるかもしれないと思ってな」


ギース様の言葉に、何一つ反論ができない。


「あとは、あなたを驚かせたかったんだ」


そう言って、ギース様は向かいの席から移動して隣の席に座った。

ぴったりと体をくっつけてくるけど、あの、今それ必要? ねぇ……あ、ちょっと……!


……キスをされてしまった。


「レダと話していると、すぐキスしたくなる」

「それはもう少し我慢してください」


前世で良く、街中でチュッチュチュッチュしている外国人を見かけていたけれど、本当に良くチュッチュチュッチュするものなのね……。

日本人の感覚が残っている私としては、恥ずかしくて仕方がない。


「恥ずかしがるところも、見たくて」

「それは! 我慢! して!」


とんだ変態じゃないの。

変態……。あれ? これはセーフ、なの?

もう、私も感覚がおかしくなってきているのかもしれない。

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