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お城に入って、パーティ会場へと足を運ぶ。
実家もお城だが、要塞と言った感じで、石でごつごつしている。
この王城も石がメインで作られているはずだが、
何と言っても荘厳で優美である。
一言でお城と言っても、いろいろあるのねと、
のんびり会場に向かう。
会場には紳士と令嬢が数名。
お妃選びの為だろう、思っていたより人が少ない。
令嬢は皆、古典デザインで白色のドレスを着ている。
赤いドレスを着ているのは私ぐらいだ。
1人だけ、目立つドレスを着ているのを気にするでもなく、
ドリンクを受け取って喉を潤す。
今更緊張もしないと思っていたけれど、
実際ドリンクを飲んでみると思っていたより
喉が渇いていた事に気づいて、深呼吸する。
全員が揃った所でファンファーレが響く。
王族の登場だ。
最初に王、王妃。次に第一王子、第二王子、第一王女と続く。
ほお、あれが第一王子か・・・
執務室の1人が、イケメンと言っていたけど、
確かに麗しいお顔。
まあ、王妃が美人だから、その遺伝ね。
整った顔に、優しそうな笑顔、
体は引き締まっているし、スタイルもいい。
これは、女の子はきゃーきゃー言うわね。
と冷静に分析する。
正直、魅力を感じない訳ではないが、
執務室に積まれている書類の方が気になる辺り、
私は恋愛には向いていないのだろう。
王子と結婚してしまったら、領地運営が滞る、
私は領地にいられる人で、エドワードが成人するまで、
支える事に理解ある人と結婚できればそれでいい。
そう思って王子を眺めていると、
第一王女と第一王子がファーストダンスを踊り、
その後、王子の周りに令嬢の集団ができていた。
うわー、王子大変だ、頑張って。
そんな王子を後目に、挨拶をしたい人に声をかけていく、
思っていたより参加人数が少ないので、
余裕をもって交流できそうだ。
そうやって、一通り交流できたかなと思った頃、
王子が私に近づいてきた。
「久しぶりだね」
「お久しぶりでございます、第一王子」
「敬称なんて寂しいな、名前で呼んで欲しい」
そう言われて戸惑う、名前で呼ぶ事は、それなりに親しいと
周りに示す事になる。
実際、王子の言葉に、周りが騒がしくなる。
「恐れ多いですわ」
何とか回避しようと、笑顔で誤魔化す。
このドレス着ている時点で、興味ないって気づいて!
「気が向いたら、いつでも私の名前を呼んで欲しい、
綺麗な君の声で名前を呼ばれたら、私は天国へ行くような
気持ちになれるだろう」
口を手でおおい、にこやかに微笑む。
この王子何とかして~!