2-1 お妃選び(王子サイド)
「お妃様候補のリストです」
「ああ、ありがとう」
今度、私の婚約者を決めるパーティが開かれる、
ここで選ばれた女性が王妃となるとあって、
調査の為の書類も分厚いものになっている。
纏めてあるのを確認すると11束だったので、
候補としてパーティに参加するのは11人と言う事だ。
しばらく無言で全ての書類に目を通し、
側近に語りかける。
「実際、王妃にふさわしい女性は何人いる?」
「そうですね、誰もが納得するとなると、キャサリン嬢、
テレジア嬢、レオノーラ嬢でしょう」
その言葉に頷く。
キャサリン嬢は公爵令嬢で、父親は大きな穀倉地帯を管理している、
この国の食料を担う重要な立ち位置である。
テレジア嬢は冢宰の娘、幼いころから父親に似て、
学問に精通しており、性格も大人びている。
この二人が候補に挙がるのは当然だろう。
しかし、レオノーラ嬢については、領地で過ごしている事が多く、
ほとんど面会をした事がないので、情報が少ない。
「レオノーラ嬢は、そんなに魅力的な女性なのか?」
「レオノーラ嬢の祖母はバルデウス帝国の皇室の出身で、
彼女自身も一番高貴と言われる紫の瞳を持っています。
性格については、調査不足の所もあるかもしれませんが、
民にはとても慕われているようです」
「そうか・・・・」
「それに、紙からの情報もよいですが、
一番は王子の心が動くかです。
愛せる女性を選ばれるのが一番だと思います」
「それは、私に期待されても困る」
王子の言葉に側近は苦笑する。
王子の言葉が本音だと分かるからだ。
実際、どれほど心惹かれる女性がいても、
国の為にならない女性なら、付き合う事はないだろう。
あくまで、国の為になる事が一番。
心さえ、冷静にコントロールしてしまえる。
そんな王子の性格を知っている為、
余計、心惹かれる経験をして欲しいと思う。
思い思われる幸せを味わって欲しい。
例え、王妃としての仕事さえこなしてくれれば、
自分は愛のない生活をしても構わないと、
割り切っているとしても・・・・