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1-3

王宮からの王妃選びの手紙が届いてから、

すぐに王都に行く準備を始めた。


準備と言っても、服や靴などはメイドに任せているので、

もっぱら書類の調整である。


爺にはここで指揮を執ってもらう予定だったが、

久しぶりに王都へ行きたいと言う事で、

爺も一緒に王都へ行く事となった。


簡単な定型書類は、両親でも何とかなると思うが、

少し複雑なのになると、私が判断した方がいい。


領地から王都まで、最速で運んで3日かかる、

それを見越しての書類整理である。


「爺、本当に王都へ来るの?」


「王妃選びには使用人も連れてくる事ができますからな、

 私もいた方がよいでしょう」


「それは、パーティで選ばれた令嬢だけでしょう?

えっと確か、まず条件に合う令嬢が王宮に集められ、

パーティが開かれる。

そこで、王子の目に留まった令嬢が、王宮に泊まって、

数日選抜を受けるのよね」


「そうですじゃ、まあ王子の目に留まると言っても、

実際の所、パーティでの振る舞いのテストですな」


爺は随分詳しそうだ。


そう言えば爺は不思議だ。


私の家庭教師として雇うまでは、どこで何をしていたか、

まったくの謎なのである。


とある公爵の紹介状を持っていたので、

身元がしっかりした人物である事は確かだが、

今回王都と縁があった事も初めて知った。


まあ、昔王都にいたのなら、

懐かしい場所へ行くのもいいかも知れないわね。


私はあっさり考えるのを止めた。


爺の事は、東洋の本に出て来る仙人のように感じている。


だいたい50代半ばで死ぬ事が多いのに、

63歳になってもまったく衰える事を知らない。


流石に全て白髪だが、その髪ですら上品である。


仕事も現役で、医者から長寿と健康の秘訣を聞かれていたりする。


今まで、何度も困難にあったが、全て爺が手掛かりをくれた、

実は私の実力に合わせて仕事をしてくれているだけで、

本当の底力は、もっと深い所にあるのかもしれないとさえ思わせる。


私の爺に対する信頼は、国で一番高いビュートル山より高い。


正直、王妃選びより、領地の書類処理の方が、

私の中で重要度が高いので、爺がいてくれる事は心強い。


せっかくだから、王都の市やデパートなどに行って、

現在の物価や流行りなんかもチェックしておこう、

領地の物が、実際どうやって売られているか気になるし。


そういえば、領地から王都への道も、整備はされているものの、

実際どの程度整備されているか、実際体験できるいい機会。


執務室にいるメンバーが、


「第一王子、イケメンらしいですよ~、

 一目惚れしちゃうんじゃないですか~」


とか言っているのを後目に、私の中では、

領地をいかに豊かにするかに、頭を巡らせていた。

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