10-2
第一王子と、2度目に会った温室へ向かう。
そのまま無言でしばらく温室の花を楽しんだ、
綺麗な花・・・
数日前同じ温室に来たはずなのに、
今は花が輝いて見える。
心臓がどきどき言っている。
私が王妃?
王妃になりたいと決意はした、
しかし、実際王妃になると決まると、
まだ夢を見てるようだ。
第一王子の指が私の手に絡まる。
私はビクンと体が跳ねる。
「嫌?」
そんな王子の言葉に、私も指を絡ませる事で応える。
しばらくして、私が泣いて寝落ちしたベンチにたどり着いた。
その後王子がぽつんと話し出す。
「王妃には、王妃として相応しい人間でなくてはならないと、
ずっと思ってきた。
その為、好きでない人とでも結婚するのは仕方ないと思っていた、
政略結婚とはそういうものだろうと」
私は黙って話を聞く。
「なのに、襲われたと聞いて、頭に浮かんだのは君だった、
君が傷つくのも、失うのも怖かった、こんな気持ちは初めてだ」
「王子・・・」
「こんな事になって気づくなんて間抜けだが、
私は君を愛している」
「はい」
私の頬に涙が伝い、それを第一王子が拭ってくれる。
「それで、お願いがあるんだ」
「何でしょう」
「私の名前を呼んで欲しい」
その言葉に、すぐに答えたいのに、
胸がいっぱいになりすぎて、なかなか口が動かない。
「レオ・・・ナルド・・・・・さま」
ようやく途切れ途切れに言うと、
そっと唇を撫でられる。
そのまま顔が近づき、口づけをされた。
「こんな幸福な気持ちになれるなんてな」
「私がいて、幸せを感じて頂ければ嬉しいですわ」
「確かに奇跡だな、求めていた能力の女性が、
愛している人だとは」
「そうだと嬉しいですわ」
「もう君を離さない」
そう言って、王子はベンチから立ち上がり、
私の前に跪いて、私の手を取る。
「私、レオナルド・ロイヤル・ヴァルフリートは、
レオノーラ・デイ・フェレジア嬢を一生愛し、
支える事を誓う、私の王妃になって欲しい」
「はい、私もレオナルド・ロイヤル・ヴァルフリート殿下を、
一生愛する事を誓います」
そう言って、二度目のキスをした。
それから王妃となったレオノーラは賢妃として称えられ、
王国は大きく発展した。
5人の子供に恵まれ、夫婦はいつも幸せに過ごしたという。




