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9-1 王妃選抜 後半(王子サイド)

「テレジア嬢が辞退した?」


「はい、レオノーラ嬢に忠誠を誓われたとか」


どういう風の吹き回しだ?

テレジア嬢は高い教育を受けた、誇り高い令嬢だ、

その令嬢がそんな簡単に臣下に下るものか?


「レオノーラ嬢については、いろいろ報告が届いております。

王妃の資料については、かなりの深い洞察力をお持ちだとか」


2度目に会った時、領地運営に携わっていたと聞いていた。

しかし、まだ若い令嬢が全てを処理できる訳がない、

補佐する人間を招いて育てたと言っていたので、

周りに優秀な人間がいたのだと思っていた。


「レオノーラ嬢が領地運営に携わっているとは聞いていたが、

実際どの程度なのだ?」


「官吏によると、いつ王妃になられても問題ないと言う事です」


「今までの報告と随分違うな」


「はい」


そう言えば、メイドがレオノーラ嬢のリュートの演奏が、

素晴らしかったと興奮気味で話していたと報告があった。


「恐らく、今までは王妃になるつもりがなくて、

手を抜いておられたのでしょう、

そして、2日前、王妃になる決意をされた」


「王妃になる決意?」


「2日前は、王子とお会いなさった時です、

王子と結婚する意志を固められたと言う事では?」


「私の妃に・・・」


正直嬉しいと思う、

そう言えばパーティの時から、私には興味がなさそうだった、

それが、私と結婚してもいいと思ってくれたと言う事か。


「それと噂なのですが・・・・」


「何だ?」


「レオノーラ嬢に付き従っている、爺と呼ばれている男性ですが、

前宰相のライオネル・フォン・アルフォード様だと」


「何だと?」


私は黙り込んで、考え込む。


これは思っていたより、大きな事かもしれない、

前宰相が王妃として推している女性、

その女性が只者であるはずがない。


「良かったですね」


満面の笑顔の侍従に、不思議な顔で応える。


「好きな女性が、王妃として有能な人間、

これは奇跡です、もう結婚するしかありませんね」


「まだ、キャサリン嬢がいる」


侍従は苦笑して、肩をすくめてみせる。


「自分の気持ちに正直になられた方がいいですよ」


「私の気持ちは、国の為になる王妃を選ぶ事だ」


確かにレオノーラ嬢と話していると楽しい、

パーティでは毅然として、上に立つ者である事を感じさせたが、

この前会った時は、普通の女の子のようで、

自分がずっと守ってあげたいと思った、

そして、自分にだけ弱い面を見せて欲しいと、

ずっと自分が傍にいられればと・・・


しかし、そんな気持ちなど、王子として許されるものではない。


侍従は、はいはいと軽く答えて、

王子としての仕事を渡してきた。

王妃の判断で、テレジア嬢の辞退は受け入れられましたが、

基本的には余程の理由がない限り、辞退は不可です。

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