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8-1 王妃選抜 後半(テレジアサイド)

王妃選抜の最終日の前日、

邸宅から連れて来たメイドから報告を受ける。

このメイドは、王宮の官吏とも繋がっており、

様々な情報をもたらしてくれる。


その話によると、レオノーラ嬢が変わったと言う事だ、


「王妃の資料ですが、担当の官吏の話によると、

相当深い分析をされるとの事、

しかも、その判断は官吏も驚く程鋭いとか」


「今までは、無難な回答ばかりしていると言う話だったわね、

そんなに急に変われるものかしら?」


「今まで手を抜いていたと考えられます、

本気を出されたのかと」


本気を出す・・・・王妃を狙っていると言う事だろう。


少し悩んでいると、メイドが言いにくそうに言う、


「それと・・・・」


「何?」


「噂によると、彼女について来ている、爺と呼ばれている

男性ですが、以前宰相だった、

ライオネル・フォン・アルフォード様だとか・・・」


「何ですって!」


「オズワルドと名乗っておいでですが、

これは仮名であるかと・・・

実際、キャサリン嬢はライオネル様を大金で引き抜こうと

されたようです、しかし、儂の主はレオノーラ様だと、

どんな条件にも頷かなかったとか・・・」


あまりの情報に、頭がガンと殴られたような気持ちになる、

前宰相から直々に指導を受けている。


「しかも、領地運営に携わり、実践経験もおありとか・・・」


メイドは私の顔色を窺うように、話しかける。


領地運営?そんなもの令嬢がする事ではないわ!


私は宰相の娘として、それなりの勉強をしてきた、

しかし、あくまで勉強だ、実際に官吏になり、

仕事をしてきた訳ではない。


いてもたってもいれなくなった。


「レオノーラ嬢にお会いしたいの、面会を取り付けて」


王宮のメイドに命じると、すぐに動き、

2時間後時間を作ると連絡があったと報告があった。


私はその2時間、悶々と悩んで時間を過ごした、

私だって、今まで努力してきた、

王妃候補の筆頭の1人として、皆に認められてきた。


急に本気を出された所で、負けるはずがない!


そんな気持ちでレオノーラ嬢に会うと、

にこやかな笑顔で出迎えてくれた。


その余裕に、更に胸が押しつぶされる。


「王妃の資料の課題について、意見を聞きたくてきましたの」


「私で分かる事であれば」


しばらく話をして、愕然とする。

今までとはまったく違う。


勉強していない者なら気づかないだろう、

しかし、私にはそれなりの知識があった、

だから分かる、レオノーラ嬢が遥か格上であると。


例えるなら、同じ問題を話していても、

先生と生徒程の違いがある、


私の質問に、余裕で答えをくれる。


同時に理解した、

私は父に、正しい答えを求めすぎると言われていた、

しかし、答えは一つで、正しいものであるはず。


どうしても、正しくないのに、正解である答えの理由が

わからなかった。


しかし彼女はいとも簡単にその答えを導き出せるのだ。


「レオノーラ嬢は毒を飲んだ時、薬を下さいました、

王妃を狙う今なら、望みはあるのではございませんか?

私は利用価値があると思うのですが」


しっかりとレオノーラ嬢を見つめて語る。


「望みはございませんが・・・

どうしてもとおっしゃるのなら、私に困った時があれば、

助けて下さると嬉しいですわ」


そう言って笑うレオノーラ嬢に敵わないと思う、


父に”私心なく尽くせ”と言われていた、

しかし、働いたら給金がでるのが当然だし、

官吏なら出世を願うはず。


しかし、レオノーラ嬢にあるのは、

領民の為、家族の為、本当にそれだけなのだ、

そして、王妃になれば国中の民の為になるのだろう。


ああ、この方には敵わない。

そして、この方にこそ、王妃になって頂きたい。


自然に椅子から降り、臣下の礼を取る。


「テレジア嬢?」


レオノーラ嬢の驚いた声が聞こえる。


「私はこの時点で、王妃候補を辞退致します。

そして、レオノーラ様に忠誠を誓い、

私の全てを捧げます」


「どうして・・・」


「勝てない相手と言うのはいるものなのですね、

そして、あまりに強すぎると悔しいと言う気持ちにさえならない、

私はレオノーラ様が導く国を見てみたい、

そう思ったのです」


「そうだとしても極端ですわね、

そうですね、まずはお友達からでいかがかしら」


そう言って、手を差し伸べるレオノーラ様に、

この方こそ、私が人生を賭け仕えるべき方だと決意した。

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