表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/27

1-2

ケーキを食べ終わり、手紙を持って部屋へ向かう。


部屋と言ってもベッドなどがあるプライベートの部屋ではなく、

執務をする為の部屋。


父親、祖父、曾祖父と、軍人としては優秀だったものの、

文官の仕事は本当に苦手だった。


3代続いて、文官の仕事が滞った上、

家を切り盛りしていた母が早くに亡くなった為、

父親の机の上には手つかずの書類が積まれる事となった。


書類の中には、治水に関するもの、野菜の病気に関するものなど、

民の生活に直結する物もある。


もたもたしている父親を見ていられず、

当時私の家庭教師をしていたオズワルドを、そのまま官僚として雇い、

私が母親代わりに家の事から、

最終的には領地に関する書類を全て捌いてきた。


この部屋はオズワルドを始め、部下数人がいて、

執務を執り行っている。


それまで、優遇されていなかった文官を抜擢して、

待遇をよくして、オズワルドに指導をしてもらった。


そのおかげで、私が執務をするといっても、

ほとんどまとめ上げられた書類に目を通し、

決裁をするだけになっている。


最初、自分で一から書類を作っていた時代を思い返すと、

ほろりと涙が出そうになるぐらいの変わりようである。


「爺、王都に行く事になったわ、

 その間よろしくね」


爺こと、オズワルドに軽い感じで報告する。


「おや」


「お妃選びですって」


そう言うと、執務室にいた数人が、そんな~と声を上げる。


「お嬢様が王都へ?」


「そんなのお妃決定じゃないか!」


「この領地はどうなるんだ?」


「おめでたいけど、仕事が増えるのは複雑だ~」


など、好き勝手に言っている。


そんな言葉をひろって、言ってみる。


「ねえ、皆、私が王妃に選ばれると思っている?」


「「「「当然でしょう!」」」」


見事なハーモニーにおおうとのけぞる。


オズワルドも


「まあ、王妃に選ばなければ、王子の目は節穴でしょうな」


と言っている。


これはヤバい。


父親は単なる親バカの可能性が高い、

しかし、オズワルドが大雨が降ると言えば、本当に大雨が

降ったり、その予想は結構当たるのは体験済みである。


盛り上がる執務室の自分の椅子に座り、


とりあえず、王都で作るドレスは、

王子好みから外れた物にしよう、そう決意した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ