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5-7

テレジア嬢の部屋に着いたものの、

面会の予定もなく、連絡も入れてなかった為、

少し時間を取りつつも、何とかテレジア嬢と会う事ができた。


「体調はいかかですか?」


テレジア嬢からはなんの答えもない。


だんだん毒が効いてきて、今は相当苦しいだろう、

今程ではなかったとは言え、

顔色一つ変えず、周りにまったく悟らせる事もなく、

演奏をした胆力を素直に称賛する。


「これは、解毒剤です、

 大抵の毒には効きますから飲んで下さいませ」


じっと私を見つめるテレジア嬢に続ける、


「キャサリン嬢はお付きの者から薬をもらわれましたが、

演奏をしたので合格との事ですわ、

なので、この薬を飲んでも王妃選抜に不利にはなりませんことよ」


しばらく、私と薬を見て、テレジア嬢が口を開く。


「条件は何?」


「条件?」


「取引なのでしょう、望みは何?」


「取引などではございませんわ、

私はたんにテレジア嬢に良くなって欲しいだけですもの」


「信頼できると?」


「それは、テレジア様がお決めになればいい事、

不信に思われるのなら、薬をお飲みにならなければよろしいですわ、

ただ、毒はどんどん効いてきます、

明日からの選抜に影響が出る可能性がある事は、お忘れなきよう」


テレジア嬢が手を伸ばしたのを見て、

ピッチャーからコップに水を入れて、

テレジア嬢に渡す、


テレジア嬢は、一気に薬を飲んだ。


「おかしな方ね、私が倒れた方が、いいでしょうに」


「苦しんでいる者をほおっておけない、

自分が救えるすべを持っているならなおさら、

それだけですわ」


「馬鹿な方なのね、私は宰相の娘よ、

高額なお金をふっかける事もできたでしょうに」


「あまり考えると、体が休まりませんわ、

 毒で体力は落ちているはず、

 ゆっくりとお休み下さい、

 それでは、私はこれにて失礼いたしますわ」


踵を返して、メイドがドアを開けようとした時、


「ありがとう」


とぼそりと聞こえた。


「早く、良くなられる事をお祈りしておりますわ」


そう言って、部屋を後にした。

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