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王宮へ来て5日経った時、王妃様に皆が集められた、
そして、談笑が始まる。
最初に話し始めたのはシャルロッテ嬢、
おしゃれや流行に詳しく、おすすめのお店など、
楽しそうに話をする。
それに負けじと、キャサリン嬢が話をし、
テレジア嬢が要所要所で口を挟むと言った所だ。
私は口を挟まず紅茶を飲んでいる。
エレナ嬢は話したらいいのか分からなくて、
ずっとおろおろしていた。
しばらくそのペースで話しかけられた後、
王妃から数枚の書類が配られる。
(朝、配られている王妃の資料の最新版ね)
私はざっと目を通す。
王妃様が話しかける。
「シャルロッテ嬢、鉱山で働く人についての数字について
いかがかしら?」
「分かりません」
笑顔で堂々と答えていて、いいのかい!と心の中で、
突っ込みを入れる、
「キャサリン嬢はいかがかしら」
「今、学者を呼びますわ」
「学者でわなく、貴女の言葉が聞きたいの」
「え・・・」
キャサリン嬢は目に見えて狼狽えていた、
今まで王妃の書類は、学者に処理させて、
自分は何もしてこなかったのだろう、これはイタイ。
王妃様は気にした様子もなく、テレジア嬢に話を振る、
流石テレジア嬢、官僚的な的確な指摘で、意見を述べる。
それを、キャサリン嬢が悔しそうに見ていた。
うううん、キャサリン嬢?気持ちは分かりますが、
表情をあまり表に出しちゃうのは、余計マイナスですよ。
「レオノーラ嬢はいかがかしら?」
本当なら、シャルロッテ嬢のように「分かりません」と言いたい、
しかし、領地の運営を任されている者として、
王妃の心証を悪くする事はできない、
しぶしぶ、表情は余裕の笑顔で答える。
「おおまかにはテレジア嬢の方針で問題がないかと、
ただ、気になるのは従事する人間に何かあった時の場合ですね」
王妃様が無言で促す、
「テレジア嬢の計画は完璧すぎます、
実際の所は、体調不良者が出るかしれませんし、
事業に反対する者もいるかもしれません、
予想外の出来事に対応できるよう、計画をするべきです」
「では、貴女なら、この数字は」
「私なら150人は用意します」
「そう」
王妃様は満足そうで、テレジア嬢は驚いた顔をしていた。
「では、エレナ嬢はどうかしら」
「は・・・はい!」
エレナ嬢は素直に、鉱山の事はよく分からないのですが、
と前置きした後、
銀行を運営している家の令嬢らしく、金銭面を中心に
詳しく解説していた。
私はエレナ嬢の現実に足のついた話に、
彼女に対する評価を、大きくあげていた。