5-1 王妃選抜 前半
婚約者を選ぶパーティの後、帰宅する事が許されず、
これはまた豪華で、しかし所どころにレースが使われた、
可愛らしい部屋に押し込まれる。
どうしてこうなった?と言うショックの為、
詳しい事は覚えていない、
現実逃避の為、さっさとベッドに入って寝たが、
次の日の朝は、王城のベッドの上だった。
あああ・・・現実って残酷。
書類の処理どうしよう、王宮に持ち込んで大丈夫だろうか?
そう思いながら、朝食を食べ、王妃に呼ばれる。
綺麗な花が見える、屋根付きの庭に出て、
王妃から直々に説明を受ける。
「王妃選びは10日間です」
どうやら、選ばれた5人は、1日1人ずつ王子と過ごす、
合計2日過ごすと言う訳だ、
とは言っても、王子もそう暇ではない、
公務の間を縫って時間を作るそうだから、
せいぜい2時間程度との事、
王妃の資料を読んで、官吏に意見を述べる以外は、
比較的好きにして過ごしていいようだ、
思っていたより自由な時間が多そうなので、ほっとする。
後は爺を王宮に招けるかだが、男とは言え、老人なので、
何とか交渉してみよう。
王妃様の説明の後、それぞれ自己紹介をする。
まずは、キャサリン・フォン・アヴェーツァ嬢、
王妃候補最有力の1人、金色の髪はウエーブがかかっており、
華やかな美人である。
次が、テレジア・フォン・イニエスタ嬢
腰までのストレートの銀色の髪に、深い青い瞳、
こちらは知的と言う表現がぴったり、
父親も宰相と言う事で、それを体現しているかのようだった。
次が、シャルロッテ・デ・スフォルツァ嬢
侯爵令嬢だが、明らかに先の二人からすると、
王妃としてのオーラが少ない、
ただ、交友関係が広いのが有名な令嬢だ、
その一点を買われて、選ばれたのだろう。
次に、エレナ・ラ・ロートリンゲン嬢、
新興伯爵令嬢であり、高位貴族からすると納得がいかない人選。
しかし、普通商人なら男爵止まりなのが、
国一番の銀行を運営し、様々な事業の支援を行う、
大財閥の令嬢なのだ。
しかし、おどおどとした姿に、とてもそういう風には見えない、
ドレスもどこか着こなせていない感じがある。
どうして選ばれたのか、少し不思議な人選である。
王妃様と会っても、どこかのんきなシャルロッテ嬢と違い、
エレナ嬢は、固まって俯いてしまっている。
エレナ嬢の胃に穴が空かない事と、キャサリン嬢か、
テレジア嬢が王妃に選ばれる事を願って、
あてがわれた部屋へと帰っていった。