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3-4

さてと、と。


場を収めた所で、ドレスはワインで汚れたし、

もう帰ろうかなと踵を返す。


すると壇上の王妃から声がかかった。


「レオノーラ嬢ね、ドレスが汚れてしまったわ、

メイドの不手際は私の不手際、新しいドレスを用意させるわ」


いや、結構です。


喉元まで出かかった言葉を何とか飲み込む。


王妃様は最上級の取引先、

なにがあっても、ご機嫌を損ねる訳にはいかない。


「王妃様の御心遣い、感謝致します」


そう言って、メイドに誘導されて王宮の一部の部屋に連れていかれた。



そこで用意されたのは、完全に王子好みの古典デザインの

白のドレス。


しかも、そのドレスに合わせたメイクの為、

思いっきり童顔・・・


内心ショックだが、王妃様のご機嫌の為と自分に言い聞かせる。


王妃様に感謝の言葉を述べて、疲れたとか言って、

すぐに帰ろう!

そう思って、こぶしをぐっと握りしめる。


それから、はあ、とため息をつくと、


メイド達から、「何かご不満が!」と慌てられたので、

少しお腹がすいただけと誤魔化すと、

後で軽食を用意しますと言われた、いや、早く帰りたいんだけどね。


何とか、無理やり笑顔を作り、会場に戻る。


王妃の元に向かい、お礼を述べる。


すると、傍にいた第一王子が手を差し出してきた。


「ダンスを踊って頂けませんか?」


第一王子は、最初に第一王女とダンスを踊った後、

誰ともダンスを踊っていないはず、

ここでダンスを踊ってしまうと、王妃候補一直線!


差し出された手を、困惑した顔で眺めていると、

第一王子が膝をついた。


周りに衝撃が走る。


「どうか、美しい姫、私にダンスを踊る名誉を下さい」


ここまでされると断るのは不可能。

私はおずおずと第一王子の手を取る。


その時の第一王子の笑顔に、胸がとくんと高鳴る。


(何、これ・・・・どきどきする)


初めての経験に、戸惑いながらも、

ダンスは体に染みついており、優雅にステップを踏む。


王子はオールバックで上品にまとめられた銀色の髪に、

この国では一番多い青の瞳をしている。


優しい笑顔に、細身ながら剣術もたしなむと聞いているので、

無駄な贅肉などはなく、引き締まった体をしていた。


王子の私の体に触れる手が熱い。


どうしちゃったの?私・・・


「緊張している?」


第一王子に耳元で囁かれて、顔が真っ赤になる、

そんな私を見て、第一王子はますます微笑む。


一曲踊った後は、もう腰が抜けそうだった。


もうダメ・・・・早く帰ろう。


そう思っていると、宰相が高々と宣言する。


「キャサリン・フォン・アヴェーツァ

 テレジア・フォン・イニエスタ

 レオノーラ・デイ・フェレジア

 シャルロッテ・デ・スフォルツァ

 エレナ・ラ・ロートリンゲン

 この5名を王妃候補とする!」


その言葉に、その場に倒れそうになった。


王妃になるつもりなんて、まったくありません!

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