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第一話 「聖女」を名乗る少女

今回はSFに挑戦します。

本格的にやるのは初めてですが、頑張りたいと思います。

 地球から300光年離れた先にある「グラニット銀河」、そこには青い空気の層を纏う星・『クティール星』がある。


平和だったこの星は、クティール歴2107年、同じグラニット銀河に位置する星『アルファール星』軍により侵略され、滅亡の危機に瀕していた。


クティールの民達は総力を率い、約7年もの間、奮闘して少しでも侵略を遅らせんとしていたものの、グラニット銀河最凶最悪と謳われるアルファール軍にはなかなか太刀打ちできるものでもなく、王都以外の全ての拠点たる城を奪われてしまったのが今のクティールの、2114年の惨状である。


しかしそんなある日、国を救うべく、とある少女が『聖女』に名乗りを挙げたのであった。


『ノエル・アルジャン』、後に歴史にその名を残す事になる「救国の英雄」である。







 2114年のとある夏、クティール星王都・『ロジネスタ』。


国王である『ヤグィル3世』の元に「聖女」と名乗る者が国王と謁見をしたい、という手紙を秘書の女性が届けに参ったのだが………


ヤグィルは長く続くアルファールとの戦いに疲弊しきった様子を見せていた。


それもそうだ、跡を継いだばかりで下手をすれば自らの代でアルファールに隷属となるやもしれない、という状況下。


そんな中で何処の馬の骨かも分からない「聖女」と名乗る輩に会うわけにはいかなかったのである。


「こんな時に迷信めいた話に乗っていいものなのか……私には分からぬ。それで、宛名は誰だ?」


「ハッ、『ノエル・アルジャン』………と、書かれてあります。今はロジネスタの郊外に1人で住んでいる、とのことで……」


ロジネスタの郊外は野菜栽培のシェルターが発展している場所ではあるが、ヤグィルにはノエルの素性を理解するまでには至らなかったし、まだ信じるわけにもいかない。


そこで秘書にこう命じた。


「明日にノエルとやらに16時に会う、そう伝えておいてくれ。その間にノエル・アルジャンの素性も同時に調べておいてくれぬか。」


「承知致しました。」


ヤグィルに命じられた秘書は颯爽と王の間を去っていった。


(聖女、か……神はまだ我らに戦えと仰られているのか……私にはもう、そんな気力がないというのに……)


若き王・ヤグィルは天を仰ぎ、深い溜息を吐いたのであった。 




 翌日。


謁見予定時間の30分前に、黒い宇宙服に黒塗りされたヘルメットを着用した、やや小柄な女性が扉の前に躍り出た。


その女性は胸元にある液晶画面をタップすると、シュルッ、と宇宙服とヘルメットが収縮して腰元に収納された。


「何者だ、止まれ。」


女性は門番たる男2人に不審者と思われたのか、銃を構えられる。


しかし銀色の髪をした女性は、銃に臆する事なく、身分証をポケットから取り出した。


その証書には「ノエル・アルジャン」と書かれている。


「私は王への謁見で此方まで来ました。お通しを願えますか。」


透き通った声で門番に問いかけるノエル、しかし謁見まで、まだ20数分はある。


「こ、これは失礼した。ノエル、と申したか? まだ時間は空いていて、王もまだ来てはおられぬ。暫し待つことになるが構わんか?」


「いつでも構いません、ですが私がもう到着した、という旨をお伝えいただけますか?」


礼儀正しく、且つ誠実に門番に問いかけるノエル、王家のしきたりを知らないが故の問いではあるが、人としては好印象という他はない。


門番は「承知した」と言い、ヤグィルに連絡を取った。


その返答は「今準備している故、待っていてくれ」という内容だったため、ノエルは別室に待機を30分ほど余儀なくされたのであった。




 そうこうしているうちに時間が面会時間に経っする。


ノエルはシューッ、と開かれた扉からヤグィルの居る場所まで一直線に向かって歩いていく。


床の金属の音を踏み締められる音だけが聞こえ、聴衆全員が静寂の中、固唾を飲み歩かれてくるノエルをただ見守る事しかできなかった。


長い長いホームストレート、それを進んでいくノエル、だが彼女は何を思ったのか残り約5メートルに迫ったところで右に急に旋回し、中肉中背の男の前に跪いた。


「ヤグィル王様、お初にお目に掛かります。この度『聖女』に選ばれました、『ノエル・アルジャン』……と、申します。」


ノエルの常軌を逸したこの行動に、聴衆は一斉に感嘆の声を挙げて騒めいた。


何故()()()()()()()()()()()()()()()


「な、何故分かった? 如何にも私がヤグィル3世であるが……其方、私に会うた事はないはずだが、どういうことであろうか。」


ノエルは一呼吸置いて、こう答えた。


「神はこう、お導きだったもので直ぐに分りました。『王はお前を試している、近づいたら右を振り向け』……と。門番の方からの連絡で準備をしている最中だった事でしたので、確信へと変わりましたので、そうさせて戴きました。」


なんとも非科学的な話ではあるが、直線上に進んだ先にいた王に似た人物はヤグィルの影武者、ヤグィルは仮にその影武者に跪こうものなら「誑かした」と斬り捨てる予定だったため、この慧眼に感嘆せざるを得なかった。


そしてノエルはこう続けた。


「跡をお継ぎになられたばかりで不安が大きいのでしょう? 先王様からの旧臣の方々からの自らの求心力はどうか、止めきれないアルファール軍の侵攻、そして_____『自分の代でこの星を滅ぼされないか』という事を。」


「な、何故それを……!? す、全てその通りだが、『聖女』はそれすらも見通すというのか……!?」


まるで見透かされたかのように思っていた事を全て言われ尽くされたヤグィルは驚愕の表情を隠せなかった。


それに対し、ノエルは「はい」と即答した。


(此奴……本当にこの星を救うやもしれんな、あのアルファールから、本当に……!! ならばもう一つ、試そうとするか……)


まだノエルを少し疑うヤグィルは王女で妹である「コメッティア」を呼びつけた。


「ノエル、お主を試したい、そういうわけで……コメッティアと実戦形式で戦ってもらいたい。得意な兵法はあるか?」


コメッティアはクティール星屈指の戦闘力を誇り、「姫騎士」として慕われている王家第三王女だ。


白兵や銃撃、機体操縦等、数ある分野でこう聞かれたノエルは「白兵戦です」と即答した。


輝いている目から、相当な自信が伺えた。


「よかろう、模擬戦闘場へと迎え! コメッティア、案内してあげなさい。」


「ハッ!!」


そういうわけでノエルはコメッティアと実戦形式で戦うことになったが、そこで彼女は周囲の度肝を抜かせることになるのである。

次回はコメッティアと模擬バトルをした後にノエルが仲間集めに奔走することになります。

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