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最果てジンセイの殺め方  作者: 澪華 零
3/3

キオク2,5

「きりーつ、礼。ありがとうございました」


 そのまま授業が終わり、終礼が終わり個々にクラスメイトが教室から帰っていく。今日は掃除当番な為掃除をしていると、大声で騒ぎながらはしゃいでいて仲がいい男女達が歩いてきた。


「ほんと馬鹿だよねぇ〜あの女は。」

「匠それな?超鈍感すぎ。あいつ気づいてないんじゃね?優奈、そう思うでしょ?」

「乃衣、絶対そう。陰キャのくせに何しゃばってんの?って感じ(笑)」


 匠と呼ばれた、金髪で制服を着崩した男子「有澤 匠」。乃衣と呼ばれた、長い茶髪を巻いた女子「芹内 乃衣」。優奈と呼ばれた、眼鏡をかけて小柄な女子「花園 優奈」。ギャハハと笑いながら私の教室の前の廊下に来る。彼らだと分かった瞬間、どくんと心臓が跳ね心音と脈拍が早くなっていた。

 思い出したくない過去ばかり頭の中を駆け巡る。逃げてしまいたい衝動に駆られるも、今教室を出たら確実に鉢合わせは避けられない。物音を立てずにゆっくりと死角になるところに座り込む。心咲とは違い、3人とは小学校からの付き合い。もう二度会わないはずだったのに……


「あれれ〜?弟くんじゃーん」

「……お久しぶりです」


 匠の陽気な声とは真反対の弟の声。匠達からは見えないものの自分側は見えるが、3人はニヤニヤしていた。その様子にビクッと身体が震える。弟は涼しい表情を見せじっと3人を見つめているが、その目には静かな怒りが込められていた。


「高校入学おめでとう〜まさか此処に来るとはねぇ〜」

「あの女とは違って君は完璧だね?羨ましいよ」

「……匠さん、すみませんこの後部活あるんで、もう良いですか?」


弟の声に無視し、ニヤニヤしながら弟の近くに取り囲むように来た3人。匠が弟の肩に手を乗せるとそっと払い除けた。動じないのか冷たく言い放つも3人は怯まない。弟は私とは反対の壁に弟は自然と移動する。それを不思議とも思わない3人は、弟を壁際に追いつめ逃げられないようにしていた。


「そんな事言わないでよ〜ファミレスでも寄る?奢るよ?」

「……姉貴が待ってるんで、失礼しま」

「おーっと待った。随分と君はシスコンでちゅね〜こんなに従順なのって珍しいよ?もしかして身体に垂らし込まれたぁ??」

「乃衣、やめなよぉ〜弟くんめっちゃ怖い顔してるじゃーん」


散々私のことを馬鹿にされた弟はきっと怒りをあらわにしているのだろうか。顔も見えない為会話でしか弟の様子が想像出来ない。今すぐにでも助けに行きたいが体が拒否して行けない。どうしようと思考を巡らせていると、上履きがコツンと軽く机の足に当たった。それを聞き逃さなかった匠と私の目がバチッと合ってしまった。


「み〜つけたぁ…!!」


匠が口パクで私にニヤリと嘲笑いながら言う。そして弟の方に向き直った。2人に目配せした匠。

ゴチンと誰かの頭が壁に打ち付けられる音がした。「ぐ…っ」と痛みから声を発したのはと弟の声だった。


「こんな馬鹿姉貴より俺の弟の方が幸せなんじゃん?……ほら、馬鹿姉貴に助けてって言えよ!」


ゲームを楽しむ子供みたいに笑いながら何度も匠は弟の頭を壁に打ちつけていく。一瞬の空白乃衣は私がいる教室に向かい、優奈は匠がやっていることをスマホで動画で撮りはじめたのだ。


















幸せが壊れる音がした

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