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過去 ver柊葵

ブクマありがとうございます。PV100記念 ドンドンパフパフ

レイの過去編か柊の過去編か悩んだけど時系列が先飛びすぎちゃうので柊過去編

私柊葵には母がいない。もちろん生んでくれた存在はいるのだろうけれど、顔すら見たことがなければいないのと同じだろう。代わりにちょっと太って情けないパパがいる。


太めの眉に厚ぼったい髪、度の強い眼鏡と、よくもまぁこの親から私が生まれたものだと思うこともあるくらい似ていない。おそらく母に似たのだろう、そこは感謝しなければ、、、


パパは私を育てるのにすごく苦労したと思う。小さい私はパパによくなぜ私にはママがいないのと言って困らせたし、運動会でパパしか来ないと不機嫌になった。


心のどこかで私がいい子にしてすごくいい成績を残せばママの耳にも届いて私のことを迎えに来てくれるかもしれない、そんなことを考えるて一生懸命勉強をした。もちろんママが現れることはなかった。


パパは介護福祉士としておじいちゃんおばあちゃんの生活の助けとなる仕事をしている。ただでさえ給料の少ない仕事で、きっと一人で私を育てるのは大変だったと思う。


そんなパパを助けたくてモデルのスカウト受けた。少しでも助けになったらいいなって、もちろんパパには内緒だったけど。


パパの負担にならないようにって家事も私がやっていた。


パパは優しい人だった。頼みを断れない人でね。ある日パパの会社によると、事務員さんが話してくれた。パパはほかの人が大変そうにしていると、その人の仕事を手伝ってくれるらしい。何してんのと思ったけれど、パパらしくてうれしかった。自慢のパパ。


これからも贅沢はできないけれど、悪くない日々が続くのだと思っていた。


父さんはね。葵の本当の父さんじゃないんだ。本当の父親は明日来る。今まで騙してて本当にすまなかったって。


パパの言っている意味が分からなかった。ただ今まで自分を支えてくれていた地面が急に崩れて奈落へと吸い込まれるような感じがした。


私は悪い冗談だと思った。けれど次の日の朝にはパパがいなくなっていて。代わりに新しい父が来た。新しい父は刑務所から出てきたらしい。なんでも殺人を犯したから一時的に私のことをパパに預けていたのだという。


自慢げに人を殺したことがあるなんて言う男が気味悪くて仕方がなかった。


大きくなったねって、会えるのを待ちどおしにしていたんだよって言われても気持ちが悪いとしか思えなかった。


しばらくはおとなしかったが、私が、父になつかないと父は私に暴力をふるった。裸にされかけたこともある。


そんなとき、クラスのハブられている奴からラインが来た。そいつに関しては悪いうわさも絶えない。陰で人を殴っているや、隣の高校のやつらをカツアゲしただの、ヒステックをおこして好きな人の彼氏に暴行しただの。


そのくせ、陰気な奴で誰ともクラスの人と関わろうとしない。そんな気味の悪い奴。


自分も死にたいと思っていた。死んでしまえと思っていた。


私はそいつの提案を飲んだ。


とにかく自分をぞんざいに扱いたかった。自分を傷つけて自分の価値を下げて、不幸になればパパが帰ってきてくれるんじゃないかと思った。そんなことあるわけないってのもわかっていたけどじゃあどうすればいいのかわからなかった。


初めての情交は何ともあっさりしたものだった。もっと乱れるものかと思ったのだけれどいざ始まると、大したこともなく途中で私感度低いのかもと思ったりもした。


体を許したからだろうか。次第にあいつのことが気になりはじめた。自分から見て彼の人生はとてもじゃないが順風満帆とは言えないだろう。それは私と同じことだ。ふとした瞬間に日常なんて壊れてしまう。


いつしか彼は学校に来なくなった。とうとう死んだのかと思ったけれど、どうやら桐生まで行きダンジョンに潜っているらしい。


私たちのグループは松本君の提案で彼を冷やかしに行くことにした。いつもなら家に帰って家事とかをするのだけれども、あいつのいる家に戻りたくなくて久しぶりに松本君たちと放課後ともに行動した。


松本君は彼女の橘六花にでれでれのよう。立花と松本君は最近付き合い始めたらしい。大方Sランクにひかれた立花が松本君に言い寄ったのだろう。あざとい奴。


彼女ほど外聞を気にして勝ち馬に乗りたがる女を知らない。最近は彼氏自慢をしてきてうざい。まぁ顔はいいんだけどね。


噂通り彼は桐生のダンジョンにいた。彼の英雄はそんなに強くないのだろう。彼自身も大きく傷ついており、明らかに無理をしている。


無理せず英雄に任せて攻略する方法を推奨している政府の方針とは大きくかけ離れている。そんなことをしていたら近い将来死ぬんじゃないか。死んでほしくない、そう思った。


英雄のランクは低いが彼自体、根性はあるらしい。死体蹴りをした性根が腐っている奴よりはましか。私はひそかにメルティアへ、彼を病院に連れて行くように命じた。




大粒の涙が零れる。

許せない。あのごみ野郎、パパがとってくれたぬいぐるみ捨てやがった。同じ人間なのが信じられない。


顔も見たくない。絶対家に帰らん。


でもどうすれば、、、


そうだ、あのインキャに泊めてもらおう。


ばれてもあいつには信用ないし、そんなくそったれな気持ちでいた。


まさかのファザコン。

ちなみに柊父の今後の登場予定はありません。

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