表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/21

大災害

評価と感想で作者は喜びます!

コンビニで200円のおにぎりとお茶を買う贅沢。おにぎりとお茶はハンバーガーとポテト並みに相性がいい。鮭とおい茶なら最強タッグ。異論は認める。


授業を聞きながら、何か変化が欲しい、自分が変わることができないなら外的要因に頼ることは仕方ないことだろう。なんでもよかった、強盗が教室に押し寄せる、目の前で車に轢かれそうな人がいる、異世界転生でも可。


あまりにも授業がだるすぎて、ケータイを開くと見知らぬアプリが入っていた。ダウンロードした記憶はない。アプリ名は プロジェクト 復元


不思議に思ってアプリを開いてみると、画面は黒くなり、デジタルな数字が画面を埋め尽くした。


やば、ウイルスかと思って電源を切ろうとするけれど切れない。


悪戦苦闘していると、英雄ガチャ画面が表示された。ここまで来ても電源を切ることはできない。引くべきか、悩んだが、えい、ままよ、とガチャを引いた。Cという文字とともにホーム画面には小さなドット絵が現れちょこちょこ歩いている。2頭身のいかにも魔術師です、という姿恰好でかわいらしい。


そして画面中央下には「召喚する」の文字が点滅している。チュートリアルに従うようにクリックする。


目の前がまぶしく光思わず目を閉じた。


そんな環境の変化は待ち続けたところで来るはずがない。そう思っていたんだけど、今僕の目の前には僕のことを「シュ、、、ク、ン」としゃがれた声で呼ぶコスプレ少女がいる。声を出すのがとても辛そうだ。


全身を包んだ黒ローブ、顔はフードで隠されているがローブを押し上げる胸から女性だということが分かる。全体的なシルエットℌが細くスタイルがいい。


ワクワクした。これこそ僕が待ちわびていたものだ。


当然、周りから注目を受ける。周囲が騒がしくなる。ぼくは特別なのだと思ってすごく気持ちがいい。


「君は誰だい?」


僕が尋ねると黒ローブの魔女は「レ、、、ナ、、」とやっぱりガラガラな声で辛そうに答えた。


「なんだそいつ」


「えぇコスプレ?」


「何?マジック」


とクラスは騒がしくなる。僕が無視してスマホ画面をいじっていると、ほかの人もアプリに気づいたらしく。閃光がクラスにあふれる。どうやら僕だけの専用アプリじゃないみたい。


人通り召喚が行われるとみんなはそれぞれガチャのランクを競い始めた。


「Eなんだけど、、、」


「某はAでござるよ、でも男でテンションぶっちでござる。女がよかったでござるよ。」


「Dってあまりよくないよなぁ」


「俺はSとか絶対当たりじゃん」


どうやらリア充その1、松本君はSランクらしい確かに彼の召喚した英雄は明らかに強そうな機械少女だった。なんか後ろにオーラが出っているし、クリっとした赤目の美少女だしメカメカしい白色の翼は輝いている。かわいい。


反対にD、Eランクの人たちの英雄はよくて皮の鎧を着た大男、クワを持った農民とかだった。最悪の引きはしなかったけれど、レナには悪いけどよくもないって感じのガチャ結果っぽい。


クラスのござる系陰キャの田原君がAランクのケモミミのイケメン、柊がAランクの女聖騎士っぽいのを引いていた。Bランクが2人Cランクが4人、そのほかは全員D以下の明らかに弱そうな英雄だった。BCは脇役的という感じで、AとSは明らかに格が違う感じ。主人公感がすごい。


先生は慌てて緊急会議を行いに教室を出てってしまった。ネットで検索をすると全国で似たようなことが起きているらしい。それと同時にダンジョンらしきものが現れ、そこから月夜に照らされた魔物が押し寄せ逃げ惑う人が大虐殺されている海外動画がSNS上で挙げられている。


にわかに信じがたい映像だった。ただ日本中でも急に出現したダンジョンらしきものが確認された。幸いにしてモンスターは出てきていないようだが、中に入った命しらずな配信者はその体を肉塊に変えた。


ダンジョンが現れたその日のうちにアメリカが緊急事態の宣言をすると、世界各国は混乱の渦に巻き込まれる。


校内放送で今日の僕たちは家に帰された。


Grurururugyaugyau


家の外では緑の肌をした小さな子人が手当たり次第に暴れまわっている。


その日の夜、日本でも海外の動画ような地獄のパレードが開催された。


息を殺し家に引きこもっていた。しかし最悪なことに窓が割られ中にモンスターが入ってきた。この瞬間ほど雨戸がない僕の家を恨んだことはない。


今時あんな機能使うわけないじゃんとバカにしていた過去の自分を罵りたい。超重要だよ、雨戸で命が救われるよ。


目の前にはゴブリンがいる。ファンタジーじゃ雑魚キャラのこいつらも殺意をもっていざ前にたたれるとどうしても足がすくむ。


Grrurrururgyarya


「くるなぁぁぁぁあ」


奇声を上げながら突っ込んでくるゴブリンを椅子でぼこぼこににして肉塊に変えた。ひどい刺激臭とともにゴブリンはくず鉄に変わった。


「なんだよこれ。」


死体が鉄に変わるのも意味わからないし、音を立てたせいか前から何匹ものゴブリンが家に入ってこようとしてくるのが見えた。


「待って待って待って、、、ちょ、たんまぁー」


叫びながらとにかくゴブリンから逃げ出した。なんなんだよあいつら、逃げ出した僕をせっせこ追ってくる。たんまが分からないならバリアか?


「はぁはぁ、、、」


右に左に、時には塀を超え、ひとまず追ってきていたゴブリンを撒いて安心すると、今度はどこからか腹が揺れるほどの、どごおおおおん、とい爆発音がして地面が揺れた。


見ると遠くに家くらいあるやばそうな巨人が自動車くらいありそうな棍棒を振り回して住宅地を破壊していた。


中にいる人達のことはどうなるのだろう。おそらくひよこミキサーならぬ人間ミキサーとなっているのだろう。う、わぁ考えたら気持ち悪くなってきた。


こんな時でもSNSは欠かさない。スマホと僕は一心同体。まさに現代人の鏡だね。


こんな時でもネットは有能だ。とどうやらモンスターはボスを倒すと撤退していくらしい、逆に言えばボスを倒さなければいつまでも人を襲い続け、街を更地にしてしまう。


実際にいきなりモンスターが暴れだした地域は今、昼であり、その中継映像を見ると町がいくつもなくなっていた。


さらに検索をすると、ボスを討伐した人のつぶやきが出てきた。なんでも英雄を使って倒したらしい。


レナを召喚すると彼女は周りを警戒し心配そうに僕の顔を覗き込んだ。かおはフードに隠れて見えないそれと女の子らしくない焦げ臭いにおいがした。


「レナ、あのでかい化け物倒せる?」


レナは悲しそうに首を振る。


「,,、ギ、、ガン、タ、、、ス、、コウラン、、ク、、ボ、、ウ、ケンシャ、、、ヒ、、ツヨ、ウ」


「何か弱点とかでもしかしたら討伐とかできたりしないかな?」


初手は誰でも攻略可能じゃないとそのゲームはくそげーだよ。違った。人生はそもそもくそげーだわ。


「、、シュ、、、クン、ニゲ、、、ルベ、キ」


僕は高台で街を見下ろした。町が更地に変わっていく。この街にある思い出がなくなっていくのを見るのは心が痛む。けれども何もすることはできない。


住宅から火災が起き町はさらに混迷を極める。高ランクのひとはまだ出てこないのか、、、


ギガンタスは歩みを進める。このままいけばあの廃ビルにまで行くだろう。


廃ビルはもともと父と小さいころに探検と言って上った場所だった。屋上でサンドイッチを食べて、家にかえって母にそのことを話したら父と一緒に怒られた。あの頃は父も母も家に帰って来ていた。いつからだろうか、家に人がかえってこなくなったのだろうか。


小学校から帰ってきたあと、父や母が帰ってくるのを楽しみにしていた。まだかな?まだかな?と待ちわびて、そして夕飯を全員で囲むのだ。


僕が小さいころ印象に残っている父との思い出がある。父は懸命にノーベル賞の流れるテレビに座って見ている。そして日本人の名前が呼ばれると大喜びするのだ。ほら見ろ!日本人の教授がノーベル賞を取った!すごいことなんだぞ!子供のように笑い喜んでいる父は初めて見た。


僕はいつしか科学雑誌を父にねだるようになった。そうすると父は嬉しそうにするのだ。嬉しそうにする父が好きだった。


母との思い出もある。母の日、家事を代行した。背伸びして洗濯物を取り込んで、料理も母と一緒に作って、お風呂を入れて、寝るときにありがとうって言われた。感謝の言葉が心地よくて、それ以来お風呂掃除は僕の役割になった。また褒められた方から。


だんだんと父は帰りが遅くなり、母と二人で夕食を囲むことが増えた。母の仕事も忙しくなるそうで、いい子だからお願いね、と言われてからは一人で夕食をたべた。


家帰っても僕一人だった。いい子でいなければならなかった。いい子でいればまた両親の笑顔が見れるんじゃないかと思った。


でもいい子になったところで臨むものは手に入らなかった。それから新しい思いでができることはなかった。


廃ビルはただでさえ少ない思い出の地といえるのだろう。壊されるのは勘弁願いたい。


僕にできることはほとんどないが、全くないわけではないのだ。


僕はスマホを開く。一狩り行こうぜ。


 一狩り行こうZE!!!!!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ