スタート
対ヨロ!
晴れの日が怖い。雨の日が怖い。曇りの日が怖い。
明日が怖い。
廃ビル屋上階にて。クラスメイト一人一人のラインに「あ」と一文字送っていく、
もちろん誰一人として既読はつかない。知ってた。
柊葵、ひそかに片思いしている人。彼女はうちの学校でも屈指の美人。僕にはよくわからないが、読者モデル?という仕事を傍らでやっているらしい。そんな彼女のラインに
--死ぬ前にヤラせてくれない?--
サイテーなメッセージを送った。
--いいよ。--
と予想外の返答と早さに戸惑った。ブロックされていると思った。
--またあとでね。--
続けて送られる文
そうして僕の自殺は延期された。
また憂鬱な一日が始まる。昨日絶対死んでやると思っていたのに、色に誘われて決心なんて砂で作った橋のように脆く崩れた。
いや砂で橋は作らないか、でも、ニュアンスは伝わるだろ?
ニュアンスって言葉大好き、だって頭よさそうに見えるから。勝手に相手が勘違いして都合のいい解釈をしてくれるから。
小鳥のさえずりが気持ちの良い朝、しかし家には誰もいない。父も母もとっくに家を出ている。もしかしたら帰ってすらいないかもしれない。二人とも忙しいから仕方がない。リビングにおいてある母のぎっしりお金の詰まった財布から適当にお金を抜いて家を出た。
コンビニで200円のおにぎりとお茶を買う贅沢。おにぎりとお茶はアンパンと牛乳並みに相性がいい。鮭とおい茶なら最強タッグ。異論は認める。
平坦な気分で歩きながら朝食をつまむ。昨日剃った毛が学ランのズボンに擦れて少しかゆい。しかしこれも我慢、なんたってムフフができるかもしれないのだ?毛くらい処理するのだ。
学校についてからソワソワが止まらない。僕が教室に入ると、一瞬静かになる。冷汗が背中を伝う。そして喧騒が戻る。いつも道理。
僕の机と周りの机との間隔はほんの少しだけ広い、これもいつも通り。
気が付かないふりして、机に座る。うつむく。顔をあげるのが怖かった。
気にしてないもん!ぼくのATフィールドが強すぎてみんなの机が少し離れてしまうだけだもん!
スマホをいじりながら聞き耳を立てる。ないとは思うけれど柊葵がラインをばらしている可能性もある。拡散でもされたら恥ずかしさでしっかり廃ビルから身投げしてしまうかもしれない。それはそれでいいか。
それよりひどいうわさが学校にはぴょんぴょん跳ね回っているけどね。
柊が来た、チョオトキンチョする、僕は彼女を目で追うが彼女は僕に一瞥もくれない。そのまま彼女はいつもの上級カーストの人たちとおしゃべりを始める。
柊のいつメンたち、女の子はみんな化粧しているし男はワックスつけて決めまくってる。染めてるやつもいる。
くぅー羨ましい、俺もあの仲間入りをしたいと思うけど、興味あるけどさ、僕のこと見てくれる人いないだろうし、独り相撲とか情けないだろ?いや、一人ぼっちの僕が何をしてもひとり相撲になるわけだけどさ、意味ないことに頑張って恥かきたくないわけよ。
やる気ないクラスの合唱コンクールで一人だけやる気出しちゃう子とかいるでしょ?あんな感じとかマジ寒いしね?そんな感じ。つまりどんな感じ?
昼休みは購買でパンかって教室でたべる。
がこんと机が蹴られ、揺れる。
「あ、ごめんねぇw」
リア充その1、正式名称 松本君がわざとらしそうに謝ってきた。金髪にピアス、校則を完全に無視した雰囲気イケメンの彼に逆らえるはずもなく。
「ダイ、、ブで、、す、、」
うわずった声が出てきた。
最近のブームは机にぶつかってくることらしい。午前中だけで5回以上許しているから、僕は仏の顔すら超えたね。悟り開いちゃおっかな。、、、、はぁ、、、、
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