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 降りるまでは窮屈だったけど、到着した下水路は思ったより大きくつくられていた。水路の脇には普通に歩ける程度のスペースがあって、私たちはラカンを先頭に早速移動を開始する。

 懐中電灯に照らされただけの水路は暗くてちょっと不気味だったけど、まあ前にもこういうのは経験してるし問題ない。

 ラカンの話によると、このデカい下水路は学校近くの民家の下まで続いてるらしい。その先は普通の下水路だから移動できるのはそこまでとなるそうな。

 うまく結界の外に出られればいいんだけどねえ。いや、それ以前に水路が結界で塞がれてないことを祈らないといけないか。

 水音だけが響く下水路を私たちは静かに進んだ。

 うーん、地下だからどのあたりにいるのかいまいちわからないわね。そろそろ結界にぶち当たる頃かしら? ちょっと緊張してきたぁ。


「大丈夫。もう学校の敷地は越えてる」


 おーい。そういう大事なことはもっと早く言っておきなさいよ。気を張っていた私がバカみたいじゃないの、まったく。ジャンもこの天然系無口キャラにビシッと言ってあげなさい。


「いや、私も魔術を感知しているから結界を抜けたのは分かっていたが」


 アンタたち……。

 ホウレンソウをしっかりやりなさいよ! 問題がおこってからでは遅いんだからね。

 とくに今は非常時なんだから、ちょっとした問題が命にかかわるのよ。

 今後はリーダーである私にしっかり報告すること! そしてリーダーたる私を敬うこと! いいわね!?


「……」


「いつのまにリーダーに……」


 口答えしなーい! 結界から抜け出せたってだけでまだまだ問題は山積みなのよ。

 さあ、気を引き締めていくぞーい!

 私たちは出口に向けて再び歩き出した。

 クククッ、うまくリーダーの座をいただいてやったわ。これで私の天災的頭脳を発揮できるってもんよ。

 まずは無事地上へ脱出できることを祈りつつ作戦を練っておこう。

 ――と思ったら目的地へ着いたようだ。歩行スペースは途切れ下水路は通常サイズの下水へと流れ込んでいる。

 私たちはそばにあった梯子を上って地上を目指した。

 さて、結果はどうなるかな。やっとこさたどり着いたのは……、ガレージ?

 そこは小さな空間でシャッターが下りていた。


「うちの学校の教員住宅ってことになってる」


 シャッターから外に出て確認するとラカンがいうように普通の住宅だった。見たところ空き家みたいね。


「非常通路確保のためだから誰も住んでない」


 ふーん、学校近いし私に貸してくれないかしら。

 もちろん秘密は守るわよ。お金をチラつかされても一億円未満なら口を割らないから安心して頂戴。


「……」


 まあいいわ。それよりもラカンは会長に連絡して風魔衆を集められるだけ集めさせなさい。

 ラカンは頷くと携帯で連絡を取り始めた。

 それとジャン。アンタ魔術を感知できるのよね? 今回私たちをハメてくれやがりました魔術師を見つけて。


「いいだろう。巻き込まれたとはいえ一応恩人みたいなものだからな」


 よし。これで反撃の態勢が整えられるわ。

 クククッ、見てなさい魔術師。私を罠にハメたこと、存分に後悔させてあげるわ。


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