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どうやら敵の攻撃は生気を奪う的な魔術のようね。なかなかエグい攻撃してくれるじゃない。それにしても――、まさかすでに私たちが敵の攻撃にさらされていたとはね。やってくれる!
救いなのはこの攻撃魔術自体がそれほど強力ではなかったことだわ。この結界だけでも相当な代物って話だし、おそらく攻撃魔術のほうにはそれほど力をさけられなかったのね。
だから抵抗の意思がない食料がまずは腐りはてた。そして次にハッスルしていた人間が、精気をもっていかれてしまったと……。まあ発散しようとしてたわけだから吸い取られてしまうわよね、ナムナム。
とりあえず敵の手口はこれでわかったわ。問題は私たちがどれくらいのあいだ抵抗できるかってことになるわね。
「私は対魔術師戦の訓練は受けている。少しは魔術に抵抗できるはずだが、なにしろこの手の攻撃は初めてだ。どれほど持つかは見当がつかん」
どうもジャックは直接攻撃をぶつけあうような戦いしか経験したことがないらしい。私のイメージだと魔術師といったら、もっとネチネチしているもんだったんだけど。意外だけど脳筋も多いのね、魔術師。
「私もお札があるから少しは抵抗できると思う」
あっ! 自分だけズルいわよ、ラカン。私にもよこしなさい! よーこーせー!
といいますか、アナタの下僕である私めにも恵んでください。お願いします、御代官様。
ラカンは予備を持っていたようで、対抗術式ってやつが施されたお札を素直に渡してくれた。
うむ、やっぱり持つべきものは友人よね。私たちいつまででも対等の親友よ!
「なかなか大物だな」
「……」
さてと……、これから私たちのやるべきことは決まってるわよね。なんとしてもこの結界から脱出しなければならないわ。
それにしても罠だけしかけたうえで、自分は安全な場所で悠々と結果待ちですか。なかなか私好みの攻め方じゃないの。
でもね……、私がやるのはいいとして、相手にやられるのは御免なのよ!
絶対シバく! 今回の敵はコテンパンに叩きのめしてやるわ!