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 おちつけ私。

 まずはこのヤバい外見をもつ犬をどうにかしなくては。こういうのって動きが俊敏で、ザコ敵であってもけっこうめんどくさい相手のはずだわ。ゲームでの話だけど。

 早めに手を打ってしまわねば……。どうしよう……。

 ってよく考えたら私がどうこうしなくっても、他のメンツがどうにかしてくれそうな気がする。とくに武闘派臭がプンプン匂うジャックとかね。

 私が期待してジャックのほうに振り返ると――、ヤツはいつのまにか数メートル後方に陣取っていた。


「私は相手がどれほど強力な魔術師だとしても勇敢に戦ってみせよう。ただし犬は駄目だ」


 よく見ると下半身がプルプル震えていた。

 おいぃいいい! なんで肝心な時にそうなるのよ! というか大の男がプルプルはやめなさい。精神的ダメージがすごいわ。

 ハァ……。仕方ないか。それじゃあアナタにまかせるわよ、なんちゃって忍者。


「犬は攻撃しちゃ駄目。犬は愛でるもの」


 おぃいいい! お前もか! 理由は真逆っぽいけど、なんで二人とも勝手に戦力外になってんのよ!

 クッ、文句言ってる場合じゃないわ。私がなんとかしなくては……。

 私はポシェットに手をつっこむ。

 こういうときに役に立ちそうなものは……。

 リュックのなかの道具も思い出し、最良の策を練ろうとしたけど思いとどまる。

 ここはアレよね。私の秘密道具も有限なことだし、なんとかこの場にあるもので解決しておきたいわね。

 環境を利用して武器となすのよ、ダナコ。それでこそ立派な軍人になれるってもんよ。

 私は食事に夢中になっているワンコに注意を向けながら、厨房のなかをチェックする。

 よし、君にきめた!

 私は中身が空の青いポリバケツにそっと近づくと静かに持ち上げる。よっこらせいっと。

 そして食事に夢中のワンコに忍び寄り、がばっとポリバケツをかぶせた。

 ヘイ! オ前ラ! ウマクイッタゼ! 重リニナルモノジャンジャン持ッテキナ!

 ポリバケツのサイドを食材のたっぷり詰まった段ボールで固めると、上にも重しになるものを乗せて完全にワンコを閉じ込めてやった。

 フッ、見たか。これぞダナコ様の女神流結界術よ!


「見た目が滑稽」


 わかってないわね、ラカン。見た目なんて二の次よ。肝心なのは敵をちゃんと封印できたかってことだわ。

 私は実をとる女なのよ!

 そういえば前、アンタに助けられたとき、私をゴミ捨て場に封印してくれたわよね。アレもたいがい滑稽だったと思うけど。封印された私はもっと滑稽だったしね。


「……」


 ラカンが目をそらしている。

 ふん、今は非常事態だし追及しないでおいてあげるか。


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