9
どこからともなくカラスの鳴き声が聞こえてくる――。
なんだか私を馬鹿にしているような気がしてちょっとイラッときた。
――とここで、私は目が覚めた。
ん? どうなっている!? これはどういう状況なんだ?
私の周りにはまとめられた新聞や雑誌が山のように積みあげられていた。とりあえず慎重にそれらを崩して脱出を試みる。
なんとか紙の要塞を脱出した私は、自分が資源ゴミに囲まれて爆睡していたことを知った。
「……やってくれたわね」
おい! ラカン! ふざけんなよ!
紙の要塞で取り囲むまでして、資源ゴミ置き場に置いていくとかどんな嫌がらせだよ。
私にゴミ程度の値打ちしかないって言いたいわけ!
ああ、そうですか。やっぱりラカンちゃんも女の子なんですもんね。やっぱり四天王なんてありがちな設定よりも、セブンシスターズみたいなオサレ設定のほうがよかったんですね!
フーッ! フーッ! いや、おちつけ私。
ひょっとしたらこの謎の儀式には何かしらの意味があるのかもしれない。冷静になって考えてみよう。
とりあえず私が無事なことを鑑みるに、ラカンは無事ゾンビ少女の危機を脱したと予想される。その後、そこに倒れ伏した美少女を見て、このままでは不味かろうとゴミ置き場へ運んで放置したと……。
なんの意味もねえよ! ただの外道じゃねえか!
いや、おちつけ私。ラカンは一応、命の恩人でもある。ゾンビ少女に噛みつかれる寸前、私を救ってくれたのは確かなのだ。
うむ、そうだ。生ごみの中ではなく、資源ゴミにしてくれたのは彼女なりのやさしさなのだ。ひとまずはそういうことにしておこう。
私は無理やり自分を納得させると気持ちを切り替えた。
まだ敵の勢力圏内なのかもしれないのだ。油断はできない。かなり油断していた気がしなくもないが油断はできない。
私は辺りを警戒しながら移動を開始する。
あの時とは違い嫌な感じはしない。時折、近所さんを見かけるにあの不思議現象からはもう脱しているようね。
ひとまず安心しつつもここが学校のご近所だったことを思い出す。
意識を失ってからどれくらい経ったのだろう? まだ明るいしそれほど時間は経っていないわよね。
教師陣や顔見知りを警戒しながら私は帰宅を急いだ。
――それにしてもあの不思議体験はなんだったのか。
私はプライベートタイムを満喫しながら今日の出来事について考えていた。ネットを検索してみるがそれっぽいネタは見つからなかった。
カールハインツ氏に助言を求めたいところだが、今日は連絡がつかない。
どうやら今日はとことんツいてないらしいわね。
でもこれはチャンスよ。
いろいろと危なかったけどこれでラカンとのつながりができた。もはや遠慮する必要などない。堂々とラカンに接触することが可能となった。
「ついに見えたわ。勝利の方程式が――」
ようやくボッチ生活ともおさらばできそうだわ。
ここ最近、私を悩ませていた案件が無事解決できるということもあって、このあと滅茶苦茶爆睡した。