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ふう、スッキリした。
いやあ、人間たまにはタガをはずしてはっちゃけるのも悪くないわね。私の中に眠る闇の波動も喜びで活性化しているわ。これは覇王滅殺亀亀波を撃てる日も近い!
なんて言ってる場合じゃないか。そういえばなんでこんなことしてたんだっけ。
「敵らしきヤツがなにやら言っていたようだが」
む、そういえばそんな感じのことがあった気がするわね。まあ、敵がわざわざ脱出方法を教えてくれるわけないだろうし、どうせ大した用事じゃないでしょう。気にする必要はないわよ、ジャック。
そんなことよりも下の階にちゃっちゃと降りちゃいましょう。
私たちは階段を下りていく。特に罠などはなく一階に無事辿り着いた。
突然ズバーンと階段が変形して、坂を滑り降りるパターンを期待してたんだけど残念。私の裏をかくとは敵もなかなかやるわね。
「……」
なに黙ってるのよラカン。別に楽しんでるわけじゃないからね。
こういう暗い雰囲気のときは、テンションあげて盛り上がらないと相手に飲まれるものなのよ。とくに魔術師とか陰険なやつが多そうだし、隙をみせると絶対ろくでもないことをしかけてくるわ。
「ほう、なかなか考えて行動しているのだな」
「また適当なことを言ってる」
ふふーん、ジャックも少しは私のことを見直したみたいね。ラカンも嫉妬してないで素直に尊敬してくれていいのよ。オーホッホッホ。
さて、この不思議空間から脱出できる穴がないか探索するとしますか。
私たちは手当たり次第に教室を探索することにした。
まずは保健室か。うーん、それにしてもなぜ学校の保健室というのは胸が高鳴るのだろう。
そんなことを考えながら扉を開けると、明らかな異常にすぐ気が付く。
その原因は保健室に並べられたベッドのうちの一つにあった。一番奥にあるベッドが中が見えないようカーテンがひかれ、しかもギシギシ音をたてていたのだ。
「……」
どーすんのよ、コレ!
まさか教師と生徒があんなことやそんなことをしてるわけじゃないでしょうね。この異常事態になにやってんのよ!
アレをやってるわけですね。わかります。そりゃ異常事態にも気づかないわ。
わたしは開いた扉をそっと閉じた。
「使用中だったわ。後回しにしましょう」
そうしましょう。