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 このところ放課後の教室はどこもかしこも忙しそう。

 かくいう私のクラスも、行列のできるたい焼き屋をめざしてがんばっているわ。

 私は道具係ながらも、料理班とはなるべく近い場所に位置取りする努力を怠らず、すでに二度の試食に誘われるという快挙を達成していた。さすが私。

 え? リア充への道はどうしたんだって? 進んだ先は工事中で通行不能だったわよ。

 私はクラスの一集団に目を移した。その視線の先では看板を作っているのだけど、女子そっちのけで男同士が盛り上がっている。そして私たち女子は少し離れた場所で粛々とチラシ作りをしていた。

 ハァ、やっぱり男子は子供でダメね。こんなときこそ男女の仲を深めるチャンスじゃないの。まったくアイツらなんにもわかってないのね。

 ラカンが何言ってんだコイツ的な視線を送ってくるけど、とりあえず無視。

 ふう、単純作業にも疲れてきたわ。休憩にしましょうよ。休憩~。

 私の念が届いたのか作業は一時中断となり、休憩とあいなりましたとさ。

 みんなは他のクラスの出し物が気になるのか、仲間同士で教室を出ていく者がほとんどだった。

 それほど興味はないけど、退屈だし私も他の教室を覗いてまわろうかな。

 ヘイ! ラカン。カモーン!

 と呼びかけるまでもなくそばにいた。

 よし、私たちもライバル店を偵察よ!

 というわけで校内を歩いてまわる。

 おやおや、これはどうなってるのかしら。そこかしこで盛ったオスとメスがイチャコラ作業をしてますよっと。クッ、なぜ我がクラスにはこれがない。

 ……おそらく私のクラスに、こういった恋愛系空気をぶちこわしているやつがいる。

 私はさっそく犯人のプロファイリングを開始する。

 ソイツはおそろしく自己中心的な人物ね。まわりの空気を読むなんて繊細な心をもたず、むしろ積極的に恋愛の空気をぶちこわしているとみた。ということはソイツの趣味趣向は恋愛とはかけ離れた性質のものでしょうね。うーむ、そんなやつ私のクラスにいたかしら? なにやらラカンがさっきから私のことをじっと見つめている気がする。なによ? 誰か心当たりがあるっていうの? しってるならズバリ言ってみなさい。

 結局ラカンは何も言わなかった。

 なるほど、無意味に意味深な態度をとりたい年頃ってわけね。無表情系ジト目地味っ娘忍者だとばかりだと思ってたけど、少しは成長しているようだわ。

 犯人はわからずじまいだけど、友人の成長が見られたという点で有意義な時間だったわね。

 少しは気分転換にもなったし、そろそろ教室に戻るとしますか。

 私たちは校内探索を中断して教室に向かった。

 その途中、演劇の出し物かなにかなのだろうか。ファンタジックな格好の集団とすれちがう。

 なんだ!? いまなんだか凄い違和感があったわ。なにかしら……。

 そういえばすんごい美少女がまざっていた気がする。うーん、あんな娘我が校にいたかしら? まさか……、私のドッペルゲンガー!? 美少女なだけに間違いない。

 私は新たな事件の到来を予感していた。


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