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『馬鹿な!? 身動きがとれない……だと……』
フッフッフッ。
私は地面に倒れこんだまま勝ち誇っていた。
カッコ悪いって? 確かにそうかもしれないけど、これまで受けたダメージのせいで立ち上がれないんだから仕方ないじゃない。
それよりさっさと終わりにしましょうか。ちょっと小物っぽいところのある悪魔だったけど、それでも悪魔は悪魔よ。時間を与えたらなにをしでかすか分からないからね。
今のところ完全にこの悪魔の動きを封じてるわけだけど、私にこの悪魔を直接叩く力はないわ。となると悪魔自身に決着をつけさせるしかないわよね。
私はなれない操作で悪魔を私の意思で動かす。
『なんだ? 何をする気だ!?』
狼狽えてる、狼狽えてる。ウケケケケ。
私は悪魔に両腕を掲げさせると、その力を解放させた。
『なんのつもりだ!? よせ! やめろぉおおおお!』
空に向かってビリビリ攻撃が発射される。一発、また一発と次々に空へと打ち上げられていく。
こころなしか徐々に威力がなくなってきているような気がするわ。それでも十分すぎる破壊力がまだありそうだけど。
うーん、これで消滅間際ってんだから、悪魔ってやつは存在するためにそうとう大きな力が必要みたいね。まあ、どうでもいいことか。
さあ、これで終わりよ。私は遠慮なく悪魔の力を絞りだしつくした。
『そんな馬鹿な……。長きに渡り人々を恐怖に陥れてきた我が……。こんな小娘ひとりに敗北するなどと……』
もはや存在し続けることができなくなったのか。半透明になってしまった悪魔が、さらに消えかけてながら断末魔のセリフを吐いた。
ふん、出会い頭で私に弱みを見せてしまったのがアンタの運の尽きね。
このダナコ。相手の弱みを突いて突いて突きまくるのに遠慮はしない女よ。地獄に堕ちて後悔するのね。
『まさかこんなところで……完全復活の間際で消えることになろうとは……。我が野望が……すべての人間を足がつった激痛で目覚めさせるという我が望みが……』
悪魔はそれだけ言い残すと完全に消滅した。
フゥ~、ギリギリの戦いだったけど、とりあえず私の勝ちね。
それにしてもなんという恐ろしいことを……。まさかそれほどの無慈悲な野望を持った悪魔だったとは思ってなかったわ。
小物っぽいだなんて、どうやら私のとんでもない勘違いだったみたいね。まさに大悪魔と呼ぶにふさわしい野望を抱いた強敵だったわ。