表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/185

65

 あの悪魔は弱っている。はたしてこれは本当かしら? それとも私たちを弄ぶブラフ?

 私はあの悪魔がいったあの言葉は真実だと思う。

 そもそも私にはずっと違和感があったのよね。その原因にようやく思い至ったわ。

 私たちに見せつけた強大な力。大悪魔といっても差し支えないその風格。

 まさに人間が太刀打ちなんてできそうにない、化け物中の化け物って感じよね。

 今はここにいるみんながそう思ってそうだけど、私はここに違和感を持った。

 この事件の最初のころ――。

 初めてアイツと意思疎通ができたとき、私が感じたアイツの意識ってもっと小物臭い感じがしたのよね。なんというか「必死だなw」って感じ。

 だからアイツが追い詰められていたってのが本当だって思えるの。

 それに私たちを無力化した最後の攻撃。あの攻撃の間際、確かにあいつの姿が霞んだわ。余裕の態度を保ってたけど、実は全力の攻撃だったんじゃないかしら?

 そして私たちの無力化に成功し、器を確保した段階でいったのがあのセリフよ。安心して思わず本音をポロっちゃったんじゃないかしら。そんな悪魔のほうが私の最初のイメージに合うわ。


『どうした? 立ち上がっただけか? それだけではなんの意味もあるまい』


 クッ、好きなだけほざいてなさい。まだ逆転する可能性は残ってるわ。

 とはいっても残念ながら頼みの綱は、憎いアンチクショーことエドモンドの遺産まかせなんだけどね。でも少なからず勝算のある賭けよ。

 そもそもの話。封印されていたアイツのメッセージを、私だけが感知できたっていうのが気になったの。一緒にいたラカンは気が付いていなかったのになんでって話よ。私なんかより忍術に精通しているラカンのほうが、アイツに気づいてもよさそうなのにさ。

 それにこれまであの倉庫に足を踏み入れた人間は数多くいたはずでしょ。もし、私のようになにか感知していれば、なにかしらの逸話なりなんなりが残っててもおかしくないわ。でもそんなものないどころか、倉庫の隠し扉でさえ誰も知らなかったみたい。

 まるでアイツが封印されてから何事も起きず、数百年という時の中でその存在が忘れさられたかのようにね。

 つまりこの数百年ではじめて私だけがアイツの存在を感知したのよ。長年、不思議な出来事に精通してるであろう忍者なんて連中が、近くをたむろっていたのにね。

 これが偶然であると思う? 私はそうは思わない。

 そしてこれが必然であったのなら、私のみが感知できた理由は? 一般ピーポーな私がこの運命に選ばれそうな理由は一つしかないわ。エドモンドの置き土産よ。

 エドモンドは神経への干渉を否定しなかった。たしかにこの力は神経への干渉を可能とするわ。でもそれだけじゃない。でなければ私とあの悪魔の間に、同調するようななんらかの力が働くなんてこと起こるわけない。

 まだその先があるはずよ。それに賭けるわ。

 ちょっと都合がよすぎないかって? たしかにその通りよ。でも他にどうしようもないんだから仕方ないじゃない。このまま何もしないで死を待つなんて私はゴメンだわ。

 それにすでに賭けは始まっているんだからもうやるしかない。

 最初の賭けはこの力を私が使いこなせるのかってことだったけど、結果は上々よ。アイツに痛めつけられたのが功を奏したわ。おかげで自分が動いてるのが、本来の身体機能と別系統の力だってことが実感できる。

 さあ、ここからが本当の勝負よ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ