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固い扉を開けた先にあったのは、さらに深い闇へと続く階段だった。
私たち「めざせ勝ち組乙女探検隊」は僅かな光源を片手に、この未知の回廊を突き進むことを選んだわ。
選んだのはいいんだけどなんでかなあ。なんでこうなるかなあ。
後ろ手で縛られた私は、まるで連行されているかのような絵面でこの暗い道を進んでいた。
「ごめんなさいね、吉田さん」
生徒会長が申し訳なさそうに謝ってくる。
いや、別に会長が悪いってわけじゃないし、それはいいんだけどね。私はこの家の重大な欠点に気づいてしまった。
会長たちのパパンは口数が少なすぎて、分家筋の連中に好き勝手やられすぎですわ。口数という点ではラカンもまったく役にたたないし、こりゃ会長が苦労するわけね。
さっきも分家筋のおっさんたち相手に、会長が一人で口論してたようなもんだし。
あー、これまでもずっとあんな感じだったんだろうなあ。さっきラカンが聞いた争うような音ってのも、会長たちの口論の声だったってわけね。派手にやってますなあ会長。
でもいくら有能な会長でも、たったひとりで大勢の口達者そうなおっさんたち相手じゃ劣勢にもなりますわ。こんなんじゃ分家筋に好き放題やられてるってのもわかるよ。
「ハッ、こんなヤツ警戒する必要なんてねえよ。前回ボコボコにしたっつっただろ」
おお、あんちゃん。たまには言いこというねえ。早くこの縄を解いておくんなまし。
「魔術師をあまりなめるでない。こやつら弱くとも何をしでかすかわかったもんじゃないぞ」
チッ、分家のおっさんめ。余計なことを。
というか私のことは完全に魔術師側とグルってことになってるみたいね。ふざけんな! こっちはその魔術師に変なもん押し付けられたってだけの被害者だっての!
――といいたいけど言えない。この秘密をばらしてしまったら、もっとヤバイ状況になるのは目に見えている。
そして私たちは粛々と暗い道を進んでいった。……っていうか結構長いわね、この道。優に屋敷の敷地を越えてると思うわ。
そしてたどり着いたのは割と大きめの部屋。そこにはボロボロになった小さなお堂があった。
怖えぇええええ! なにこれ? ホラー?
これはお宝とかいう雰囲気ではないわ。もういまにもなにか出てきそうって感じだし帰ってもいいですかね。
そんな私の希望を無視して現実は続いていく。皆さんはお堂のなかを調べ始めたのだ。私はというとお堂のお外で待機ですよ。まあそれはいいんですけどね。こんな気味悪いお堂、入りたくなんてないわ。
そばにいるのは私に繋がる縄を持つおっさんとラカンの二人だけになった。
「これはアレね。中に入っていった連中の悲鳴が響き渡って、私たちは中に入るか立ち去るかの二択を迫られるってパターンよ」
ふひひひ。
「馬鹿なこと言わない」
そんな感じにしばらく待っていると中に入っていった連中が戻ってきた。ボロい長方形の箱を運びながら。
あー、なんだか嫌な予感がするわ。