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ラカンが聞き耳を立てて情報収集している間に、私は私で謎の音を調べ始める。
うーん、いったいどこから聞こえてくるのかしら。
音の出所を求めて牢屋内をうろついた。
この箱かな?
ひとつの木箱に聞き耳をたてる。
『――』
これっぽいわね。それにしてもなんの音なのかしら。
まさか虫がわいてるとかじゃないでしょうね。これはちょっと警戒したほうがいいのかもしれない。
「何をしてるの」
おっ、ラカン。もどってきたか。ナイスタイミングよ。
……なによ? その疑うような眼は。
まさか私が金目の物を探してたなんて思ってないでしょうね。たしかに探してたけど、そんなものはついでよ、ついで。
そんなことよりこっちきなさい。この箱から変な音がするから。
「……別になにも聞こえないけど」
本当よ! 本当に変な音が聞こえたの!
もしかしたら泥棒が隠れているのかもしれないわ。だから中をあけて異常がないかちゃんと確かめるのよ、ラカンが。
え? なんでそんなに離れているのかって?
だって危険が危ないじゃない。それにネズミとか出てきたら嫌だし。
ネズミはやばいのよ。噛まれて変な病気になったりするのよ。
それに変な虫がわいてたりしたら見たくないし。女の子の私には難易度が高すぎましてよ、オホホホホ。
いいから箱の中を確かめなさい、ラカン。
こうしてラカンは箱をあけて中を調べ始めたのだが……。
「別に怪しいものはなかった」
うそーん。
そんなはずはないわ。絶対何かあるはずよ。
私も箱の中を調べてみる。中には以前倉のなかで見たガラクタっぽいものがいくつか入っているだけだった。
そんなバカな……。確かにここから音が……。
私は一点一点ガラクタを取り出しては音がしていないか調べてみる。
しかしなにも怪しいものを見つけられないまま、すべてのガラクタを取り出し終えてしまった。
クッ、ラカンの目線が痛い。いったいどういうことよ。
『――』
ん? やっぱり聞こえるじゃない。
箱の中から? あれ? 私は箱の中を見てみるが空っぽである。
これは……。私はよっこらせいっと箱の中に入ると聞き耳をたてた。
ついに見つけたり!
私は箱から飛び出ると空の木箱をそこから退ける。そこは一見なにもないただの床。しかし!
私は床に耳を当てて確認する。やっぱり! この下になにかあるわ!
ラカンが胡散臭そうに床を調べ始めた。
「驚いた、確かにこの下になにかある」
ラカン……。アンタ相変わらず表情に乏しいわね。もう少し驚いたらどうなのよ。