表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/185

40

 暑い……。

 私は一旦体術の訓練を中止してジャージの上着を脱いだ。

 ちなみにこのジャージは通販で買ったものよ。えんじ色に白線二本のストライプといういわゆるジャージの王様ね。

 片隅に置いてあったリュックのところまで行って無造作にそれを置いた。ついでに自作のスペシャルドリンクを取り出して水分補給。ゴキュゴキュゴキュ……、プハー! BCAAが身体に染み込んでいくわ。

 ここは学校の近所にある神社の境内。ありがたく私の修行場として活用させてもらっているわ。神主さんに頼んだら「フォッフォッフォッフォ」といってたから多分大丈夫。

 カールハインツ氏によると修行と言えば山なのだそうだが、残念ながらここから山は遠い。というわけでちょっと妥協のうえ、緑溢れるこの神社の境内を修行場に選んだというわけ。

 はぁ、境内を通り過ぎる風が心地よい。火照った身体を徐々に冷ましてくれるわ。


「もうすっかり夏ね……」


 なんだかんだで体術の修行も二か月は続けていた。我ながらやるときはやる女だわ。

 でもそろそろ成果を実感したいところね。夏だし北極に涼みにいくときの対策のため、ホッキョクグマを倒せるくらいの必殺技を教えてほしいものだわ。


「休憩長い……」


 おっと、私のちっこい師匠がご立腹のようね。少し考え込みすぎてたか。

 私は気合を入れなおすと、ナンチャッテ忍者マスターことラカンに教えを乞う。

 残念ながらいまだ大した攻撃技は習っていない。基本的に攻撃は掌底による打撃である。拳を握って殴るとケガする可能性があるとのこと。蹴り技も防御がおろそかになるので教えてくれない。クッ、攻撃こそが最大の防御というお約束はどこにいったのよ。


「そんなものはない。護身のためにはこれくらいでちょうどいい」


 無表情でありがたいお言葉をおかけになる我が師匠。

 今もっとも時間をかけて教わっているのは体捌きね。防御の基本ということで、もう飽きるほど繰り返しているわ。この応用で使う投げ技が、私が習ったもうひとつの攻撃手段よ。

 ……地味だ。

 護身のためとはいえ、攻撃手段が掌底と投げしかないというのはさみしい。

 そろそろ分身の術くらい教えてほしいところだわ。


「知らない」


 クッ、やっぱりナンチャッテ忍者では高等忍術を教わることはできないのか。

 おのれ小娘、さんざん私を期待させておいて。私をだましたのね! もう許さないんだから。命乞いをするなら今のうちよ!

 というわけで組み手開始。

 小柄な体躯ながら重い攻撃を次々と繰り出してくるラカンに、私は命乞いをしましたとさ。めでたしめでたし。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ