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ああー、まったくえらい目にあったものね。
私はよっこらせいと立ち上がると背伸びした。
「よ、吉田さん?」
「はい」
驚いた様子の会長に簡潔に答えた。
その会長たちはというといまだ床にへばりついている。エドモンドの魔術は解けないんだろうか。
私はどうしたもんかと考えながら会長のもとへと歩み寄った。
「貴方エドモンドの術を破ったの?」
「いいえ。理由はよくわかりませんが彼の術が効かなかったので、かかったふりをして隙を伺っていました」
「そう、とりあえず安心したわ。それから――」
会長の指示で外の人たちと連絡をとり、応援に来てもらった。
チーム生徒会の面々が背負われて外へ運ばれていく。高重力は本人たちの感覚的なものだから、普通に背負われている。
背負われた側が重さに苦しみ、背負った人は軽々と運んでいくというなかなかシュールな場面を見れたのは貴重な体験だった。
私自身はというと体育館内に散らかった秘密道具の回収にはいる。それほどの時間もかからずあらかた回収しおえたのでさっさとこの場をあとにした。
ようやく旧校舎から外に出ることができたわけだが、外では復活した会長たちが待ち受けていた。
話によると旧校舎を出たとたんに魔術の影響が消えたとのこと。エドモンドがこの旧校舎に魔術的な仕掛けをしている可能性が高いだってさ。
ということはエドモンドが私の身体を乗っ取るために仕掛けた魔術についても心配ないかな。依り代が魂を受け付けるためにはいろいろ制約があるっぽかったし。大量のゾンビを生み出すほど試行錯誤したんなら、身体を乗っ取るのって相当難しいんだろう。それなら普通の状態である私を乗っ取るなんて無理よね。
でもそうなるとエドモンドの魂はどうなるんだろう。このままそのへんを漂い続けるのかしら。もはや幽霊みたいなものね。カールハインツ氏が激怒しそうだからこの話は秘密にしておこう。
会長たちも聞いてみたけど専門外なのでわからないらしい。
とりあえず何が仕掛けられているかわからないこの旧校舎は近寄れないように閉鎖し、近々解体してもらうそうだ。私のボッチ飯スポットががが……。
まあいいわ。とりあえずこれでこのところ続いていた事件は解決ね。
私は後のことは生徒会にまかせて帰ることにしよう。
午後の授業には結局でれなかったけど、会長たちにつきあってたんだからなんとかしてくれるよね。してくれるんだよね?
きっとなんとかしてくれると信じて私は断固帰宅することにする。もうゆっくり休みたい。今日は疲れた。
明日からいよいよゴールデンウイークだし、今日はじっくり休んで遊びまくるぞう。
――そう思っていた時期が私にもありました。