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 教室の空気がいつもとは違う。

 亡くなったのが知らない上級生だったとしても、さすがに皆ショックは大きかったらしい。休憩時間中の雑談も心なしか声を抑えている感じがする。

 いつもなら簡単に拾える噂話も聞き取りづらい。絶対音感を持つ気がしている私をこうも手こずらせるとは、皆なかなかやるわね。

 そうこう苦労して集めた皆の話題はやはり事件関連が多い。

 ここは小学生の頭脳を持つ迷探偵の私が解決へ乗り出すべきかもしれないが、いまは別の重要案件があるので勘弁してほしい、すまぬ。

 しかしその重要案件のほうも危機的状況にある。この暗い雰囲気のおかげでボッチ脱出の難易度が格段にあがってしまっているのだ。

 クッ……、なんてこったい。

 そんなこんなで私のボッチ脱出計画は何の成果もあがらないまま、ただ時間だけが過ぎていった。

 そして今日も私はひとり寂しく乙女坂を下る。


「……想定の範囲内だわ」


 嘘だけどね。想定外すぎるわ! こんなん予想できるかっての!

 まずい、まずい、まずい。

 私はこのままボッチなのか? 先生の「はい二人組つくってー」の言葉におびえる毎日が続くのか? 三年間このソロプレイを続けろっていうのか!

 私は家に帰ってからも、そのことをだけを考え続けていた。

 今回ばかりは漫画やラノベを楽しむ余裕もなく、暗黒時代の到来を予感しながら震えていた。

 そんな私を救ってくれたのはネットの海にいる同志カールハインツ氏だった。

 彼は私を気遣ってか、自分の悲しい過去を語ってくれたのだ。

 なんと彼はプロのボッチだったという。なにがプロなのかよくわからないが、とにかくすごい感じがする。

 とにかく彼が聞かせてくれた悲しいエピソードは私の想像を絶するもので、夏の海岸で一人敗北者となって立ち去る話など、私は涙なしにその話を聞けなかった。

 ありがとう、同志よ。

 たしかに私はボッチかもしれないが、ネットの海にはこれほど私のことを心配してくれる仲間がいるのだ。負けるわけにはいかない。

 こうしてちょっぴり勇気をもらった私は次の戦いに備えて爆睡した。


 しかしなんとか復活しかけた私の気力ゲージを一気に破壊する出来事がおこる。

 再び惨殺事件が起こり、我が校に二人目の犠牲者が出たことをあくる日の臨時朝礼で知ったのである。

 しかしこの程度なら動揺しなかった。問題は一人で下校しないよう学校側から指示があったことである。

 おいぃぃぃ! どういうつもりだコラァ!

 私を学校に監禁する気かコンチクショー!

 なんのイジメですか? ボッチには下校すら許されないってことですか? 私が美少女すぎるから学校公認で私を飼育するつもりですか?

 やばいやばいやばい。

 これは早急に対策を練らなくては! このままでは華のJKからウサギ小屋の主にジョブチェンジすらありえる!

 そう考えていた時期が私にもありました。

 あっさりと解決の糸口が見つかる。

 この教室に潜むもう一人のボッチを発見したのだ。

 クックックッ、こいつの心の隙をつけばいける!

 次の休憩時間にでも偵察してみるか。


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