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旧校舎のなかは思ったより普通だった。ただしあくまで思ったよりというだけで、十分荒れ果てているわ。
床板はところどころが剥がれていて、むき出しのコンクリートがあらわになっている。
空気も悪いし換気のため窓を開けたいところだけど、窓には板張りされてるからたいして効果はないわね。
よし、いいことを思いついた。板張りごと窓を割ってしまいましょう。誰か斧もってこぉい!
なんてことを言ったら、チーム生徒会の面々に白い目で見られそうだしやめておこう。
クッ、外にさえ出ることができれば、その辺のバイクでもひろってコイツらから逃走できたものを。
――ってなにを考えているんだ私。おちつくのよダナコ。私は無免許よ。ここは三輪車を選ぶべきだわ。
なるほど……、読めてきたわ。
どうやら敵の精神攻撃をかるくあびてしまったようね。敵もなかなかやる。まさかこんな搦め手でくるなんて、これは油断できない相手だわ。エドモンドさんとやらはゾンビよりも脅威なのかもしれない。
そんな風に私が天才的な読みを発揮している間、会長は愛人たちを斥候に出していたらしい。
戻ってきた彼らによると一階の各教室にはなにもなかったとのことだ。ただし二階への階段はバリケードで封鎖されていたという。
「やはり敵は吉田さんたちを旧校舎から逃さない算段だったようね」
生徒会の面々がいろいろと話し合っている。もう、帰っていいんじゃないかなと言ってやりたい。
でもチーム生徒会はどうしてもエドモンドさんとやらを捕まえたいようだ。なんですかねえ、そんなにレアなモンスターなんですかね、そのエドモンドさん。いったいどこのエドモンドさんなんだよ。
私がそんなことを考えている間に方針は決まったらしい。どうやら体育館経由で上の階を目指すようだ。
さすがに私たちが誘い込まれる予定だった三階非常口から入りなおす愚は犯さなかったようね。安心したわ。あっちは罠が張ってあるの明らかだもんね。
こうして私たちは体育館に向かった。
どうやら体育館の一階は特別教室的な部屋が集まっていたようね。それぞれの部屋には机や椅子のほかにも、いろいろな機材が散乱していた。
チーム生徒会は罠が仕掛けられていないか探索しながら進んでいく。宝箱があったら是非とも私にまかせてほしいものね。あ、やっぱりいまのなし。できれば罠がないことを確かめたあとの蓋開け係でお願いします。
そしていよいよ体育館の二階。
上の階にたどり着いたとき、誰もが空気が変わったことを感じていた。




