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なんだか次々に人がやってきては、副会長の指示をうけて次々と立ち去る。どうやら彼らは旧校舎のまわりに配置されていってるようね。
新たに配置についた人たちと入れ替わるように、会長の愛人たちが戻ってきた。
盗み聞きするに、どうやら生徒会と愛人ズは旧校舎に乗り込むらしい。エドモンドさんとやらを捕まえる気のようだ。
ほうほう、たいした大捕り物のようですな。
がんばれー! チーム生徒会! では私はこれで。
――てな感じで帰りたいんだけど、帰りづらい空気ががが。
いったいどうすればいいんだよう。
そんなことを考えていてふと気づく。いつのまにかチーム生徒会に混ざるようにラカンの姿があったのだ。
ちょっ、アンタなにやってんのよ! そっちはダメよ! こっちにきなさい!
……と言いたい。しかし私にはそんな勇気はなかった。
ついこの間までボッチだったこの私が、これだけのイケメンズを前にして三十デジベル以上の声を発することができようか。いや反語。
そんなこんなで一人葛藤し続けたあげく、一人でここを立ち去ることもできず……。
「――みんな! 十分に警戒して進むのよ!」
会長から気合の入ったお言葉を頂く。その「みんな」には私も入っているわけですね。ええ、ええ。そうでしょうとも。――ってなんでだぁああ。
せっかくゾンビどもをうまく躱せたと思ったのに、なんでこんなことになってんのよ!
そんな私の心の叫びも空しく、私たちは旧校舎のなかへと進んでいく。
途中でラカンと目が合うと、相変わらず感情の読めない表情でサムズアップしてきた。
――って何だその指はぁああああ! その指をへし折ってほしいって意思表示なんでしょうかねえ? そもそもの話、アンタがこいつらにくっついてるからこんなことになってんのよ! 反省しなさい!
……フゥ、まあしょうがないか。
ラカンも私と同じくボッチ生活が長いのだ。きっと人が恋しかったのね。
こんなにたくさんの人たちを前にして、しかも姉の愛人たちとなれば、自分もチヤホヤしてくれるかもしれないと血迷った考えにいきつくのもわからなくはないわ。
しかたないわね。一応、脱ボッチ組を結成した相方である。どうせ冷たくあしらわれるだろうから、あとで私が生暖かくフォローしてあげるとしますか。
まあ、ラカンのことはそれでいいとして……。問題はこの旧校舎よね。
先の戦闘で秘密道具が減ってるっていうのに……。やっかいなことに巻き込んでくれたものだわ。ヤレヤレ。