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朝、起きたらまずは一杯の水。プハーッ!
そして学校へ行く仕度よ。ゴソゴソ。
準備が整ったらテレビを見ながら豪華な食事。マルチビタミンを口に放りこむとプロテインで流し込んだ。ゴクゴク。
うーん、まずい。
さぁて、時間ぎりぎりまでねばるぜねばるぜぃ。
テレビでは奇々怪々なニュースが流れていた。
仏宇野市内において、街中で人が突然消える怪奇現象が度々目撃されたという。
ああ、これはアレよね。私たちのところに転移してきた超能力者たちのことだと思う。もっと見つからないように気を遣いなさいよと言いたい。
続いては仏宇野市内において、度々銃声のような騒音が聞かれたという。
私たちの狙撃ね。市民のみなさんの刺激のある生活のため一役かったかもしれない。さすがは私。
他には……、異世界帰りの人々あらわる? 戦国時代に転生した人間の日記発見? ネットゲームプレイ中に次々と昏倒。管理者がデスゲームを発表? 空間の歪みを新発見。パラレルワールドへ通じる可能性に期待?
ふーん、なんとも代わり映えしないニュースばかりね。
……ってそんなわけないでしょ! なんなのよこの異常なニュースのレパートリーは!
どうした世界!? いったい何を血迷ったのよ!
と思っていたら普通のニュースが流れ始めて安心した。
なになに、アマゾンの奥地にて現代文明から隔離され続けてきた人里を新発見か。これはこれで凄い気がするわね。文明は原始的だけど身体能力が異常発達していて、リアルター●ンと騒がれている……か。それはなにより。
おっ、本邦初公開。木々を飛び移って移動する現地人の映像ってか。
こういうのついつい見ちゃうのよね。でも肝心の部分が映ってなかったり、少しだけで残念だったりする可能性も高いからなあ。過度な期待は――。
うおっ! 映った!
おおぅ!? 本当に映ってるよ!
ん?
あれ?
……。
意味のある言葉とは思えない叫びをあげながら、森の奥へと消えていった。その人たちにとても見覚えがあった。いや、あれは間違いなくうちの両親だったわ。
いったい何をやっているんだ? 父よ母よ。
というかアフリカのサバンナで遊んでいたんじゃなかったかしら? いつの間に海を渡ったのよ。
いや、そうじゃない。なにゆえにパパンとママンは文明を忘れてしまったのか。
いやいや、それもとりあえずおいておこう。なによりも私の生活費はどうなるのよ!?
……どうしようもないわね。すべて見なかったことにしましょう。
さあて、学校へ行くとしますか。
玄関を開けると日差しが強く、冬というのに暖かかった。
「世界には不思議が満ち溢れているわね」
主にうちの両親。