18 生徒会
「――報告はこんなところ」
「そう、ご苦労様」
場所は生徒会室。風間彩綾香が妹の美柑から報告を受けていた。
その後、彩綾香はしばらくの間考え込むことになる。
美柑はというと考え込んでいる姉の様子をじっと見つめていた。
「どうかしたの?」
表情に乏しい美柑の感情に気づいたのはさすが姉妹である。
「……今の報告に問題あった?」
「ううん、問題ないわよ」
彩綾香は安心させるように笑みを浮かべた。
「ただ吉田さんのことをね……。いろいろと感心していたのよ」
美柑はさらなる疑問がわいたのか眉をひくつかせた。
「彼女はいっしょに帰ろうと美柑を誘ったのよね?」
美柑がうなづく。
「そして襲撃を受けた……。その後の行動はすぐには交戦せずに後退。貴方についてくるよう指示をしてまでね。たぶん彼女は敵の情報を確認したかったのよ。……ううん、もしかしたら私たちに確認してほしかったのかもしれないわね」
「どうしてそんなことを?」
彩綾香は考え込むようにして答えた。
「後手にまわっている私たちを心配したのかもね。実際、私たちは死人狩りに必死になりすぎていたのかもしれない」
「アイツらを刈るのは当然」
「そうね。でもそんなに焦る必要はなかったのよ。彼女のおかげで死人の特性がいろいろとわかってきたわ。彼女が連続で狙われたことから、死人がエドモンドの思惑で動いているのは間違いないでしょう。そして死人の行動からみるに、あまり細かな指示はできないみたいね。自立して行動する死人の頭もあまりよくないわ。そして今回の撤退の早さ……。死人が動くときエドモンドはそれを見ているわ。案外近くにいるのかも」
「……そうなんだ」
「今後は死人を刈るのではなく、これ以上増えないよう監視するにとどめたほうがいいかもしれないわね。そのうちエドモンドが動くわ。それを見つけて叩くことができれば今回の事件は終わるはず……」
彩綾香はしばらく考え込むと首を横に振る。
「それよりも吉田さんを監視していたほうがいいかもね。今回、彼女は難なくエドモンドの襲撃をかわしてみせた。それも特別な力なんて使うことなくね。東方魔道連四天王とまで呼ばれる彼からしてみれば今回の結果は屈辱的じゃないかしら。もう一度、彼女を襲撃する可能性は高いはずよ。今度こそ彼女を仕留めるためにね」
彩綾香は表情が真剣なものに変わる。
「美柑、吉田さんから絶対に目を離さないでね」
美柑は力強く頷いた。