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ウェッヒッヒッヒッヒッ。
不気味な笑みを浮かべながら私はゆっくりと足を進めた。その私の間近を再び突風が吹き抜けた。
「どういうことだ!? なぜ狙いがそれる!」
私たちの作戦をつぶしたのは褒めてやるわ。
でも失敗したわね。防御を貫けない狙撃班なんて放置すべきだったのよ。
おかげで私の奥の手が使える。見物客がいない今ならね。
フフフ、また冷静さをなくしちゃってまあ。これはチャンスだわ。
「借りものの力では私は倒せないわ。使いなさい……、アナタ自身の能力を。ご自慢の力で私の精神を支配してみなさい。もっともその力でも私には通用しないでしょうけれど」
そして決めポーズ。さあ、どうくる?
ポーズをとったままの私にしつこくサイコキネシスを叩きこんできた。
無駄無駄ぁあ! そらすぜ。そらすぜぃ。
なんて余裕そうに見えて実はギリギリです。かなり近づいちゃったからね。でもコッチも反撃するためには近づかなくては。……むぅ、これ以上近づくのは無理か。あの衝撃波にぶち当たりそうだわ。
「どう? 無駄なことがわかったかしら」
「お前……、何者だ。ヌゥーレ協会にお前のような強力な能力者などいなかったはずだ。いや、そんなことどうでもいい。なぜ今まで能力を隠していた。これほど強力なサイコキネシスを!」
おやおやん? ちょっと勘違いしているみたい。私はアンタの力を跳ね返しているわけじゃなく、ちょっとアンタを操作して狙いをそらしてるだけなんだけどね。まあ、こちらとしては都合のいい勘違いだわ。
「フフフ、サイコキネシスで押し負けたのがそんなに悔しかった? それとも……精神戦で負けるのが怖いのかしら? そうよね、ご自慢の分野で負けてしまったら終わりだものね」
「調子に乗るなよ。会長ですら耐え切れなかった精神感応、いや精神支配は無敵だ! お前のその力、頂くぞ」
かかった! サイコキネシスさえ使われなければ反撃できる。
次に隙を見せた時がアンタの終わりよ。
天上天下唯我独尊森羅万象天地開闢パンチで頭痛が痛い症候群にしてあげるわ。