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これはひどい。
何がひどいって全然相手になりませんわ。
私たちが。
ってそりゃ当然よね。さっきまで優勢だったとはいえ結構互角の勝負だったんだし。
なにがダメかっていうと、まずお爺ちゃんが抜けた穴を埋めることができていない。
私が相手の目を引いて隙をつくのはいいけど、防御が全然くずすことができないの。せっかくのクリスティーナの攻撃が相手に届かないのよ。
これまではお爺ちゃんが超能力を押さえ込んでくれたおかげで攻撃が通用したけど、こればかりは今の私たちではどうしようもない。
頼みの狙撃もすべて防がれて打つ手なしだわ。というかさっきから狙撃の手数が減ってる気がする。これは……。
そういうことか。これだから相手に考える余裕を与えたくないのよ!
いつの間にか敵の数が減っていた。当然私たちの攻撃で減ったわけじゃない。そして狙撃が減ったということは?
答えは簡単。そっちに戦力を投入されていたってだけの話よ。ちくしょぉおおおお!
そして敵の数が増えた。元の数にもどっただけじゃない。さらに増えている。
「君らに散々減らされたからな。少しでも回収させてもらわないと心もとない」
私たちをサポートしてくれていた精神感応の能力者を奪われた。いよいよもって詰んできたわね。
「だったらまとめて始末してあげるわ!」
地面に奇妙な文様が浮かんだ。
風魔衆に罠の設置を頼んだ時、クリスティーナもなにかしていたみたいだったけど奥の手を仕込んでいたのか。ってなんか私にも被害がありそうなんだけど!?
とりあえずクリスティーナのそばに避難する。こわいこわい。
「これはすごい。これほど強烈なエネルギーはなかなかお目にかかれない」
「気に食わないわね。その強烈な一撃を前にしての余裕の表情が!」
クリスティーナの奥の手がついに発動!
……しなかった。
代わりにクリスティーナの膝が落ちる。そしてそのまま地面に倒れた。