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なあんてカッコつけてみたけれど、私は脇役だよーん。
さあ、これが最後の戦いよ。お爺ちゃん、クリスティーナ。もう遠慮なしにやっておしまい!
と戦いを始めると同時に私は後ろへ下がる。
水鉄砲の残量よし。煙幕残量よし。サポート開始。
敵は多いけどこっちの狙撃班だって充分な数を用意してあるわ。なにより前面にたつのは超能力、魔術のマスタークラス。力だけに頼る未熟なアンタたちと違ってよ。
事実、お爺ちゃんは要所要所を的確について相手の攻撃を抑え込む。
力では劣っているけど経験の差で優勢に事を運んでいるわ。クリスティーナが詠唱するタイミングに生まれる隙をカバーしている点もさすがね。
そしてクリスティーナの魔術は四天王の名にはじない多彩さだった。
エドモンドはどちらかというと特化型だったけど、クリスティーナは尖ったところはない万能タイプって感じね。時と場合によるだろうけど、今回の戦いには向いているわ。
実際、クリスティーナは一度として同じ技を使っていない。学習されようともかまわないという戦い方。ただでさえ未熟な上にこのような戦いをされれば、敵も劣勢にならざるを得ないだろう。
フフフ、なかなかやるわね。私好みの戦い方よ。
敵は一人、また一人と落ちていく。
順調だけど、気になるのはあんなに煩かった連中が静かになっていること。なによりあの目。なにか企んでるか?
なんだか嫌な感じがするわ。
こういうのよくあるわよね。追い詰められたあとに開き直るというか成長するというか。とにかく形勢逆転なパターンってやつ。
これって敵役にやられると妙にムカつくのよね。
ラノベや漫画で該当するシーンを思い出しながら、ちょうど半分ほどに敵の数が減った時、戦いに変化が起きる。お爺ちゃんの動きが変わった。これは!?
下がりなさいクリスティーナ!
私は二人の間に煙幕を放り投げた。煙幕とはいえ爆発物。少しは邪魔になるはず。
しかしあっさりと煙幕がかき消される。いや、収縮した。たぶんサイコキネシスってやつの応用ね。
クリスティーナが驚きと悔しさに表情が歪んでいる。
「裏切り!? このタイミングで!」
それはちがうわよ、クリスティーナ。
「フフフ、ようやく捉えた。さすがの会長もこの力のことは深く知らないからね」