171
我ながらなんとも無様な戦いだったかもしれない。
お爺ちゃんには全力で敵の超能力から守ってもらい、私はただひたすら相手の隙を作り続けるだけ。あとはその隙をついてクリスティーナが敵を無力化していく、っていうのが私たちが選んだ戦い方だった。
それを何度か繰り返したところで、相手もこちらの意図に気づいたみたい。
「まさかその拙いやり方で、こちらの戦力をすべて無力化できると思っているのか。これだけ繰り返せば気づかないわけないだろう。馬鹿にしてくれる」
追加で三人が現れたわ。相手はあわせて四人。
これで三対四。お爺ちゃんが優れた能力者だとしてもこれはきつい……。
なぁんて弱気になるとでも思ったかしら? ヴァカめ! それくらい読んでいるわよ。
私は片手をあげてサインを送る。
すかさず敵が衝撃に身を震わせてバタバタと倒れた。遠くから銃声が追い付いてくる。
待機させておいた狙撃班にもようやく出番がきたわね。使っているのは麻酔銃だから安心しなさい。もっとも量が多くて命にかかわるかもしれないけれど、それくらいは覚悟するのね。先に手をだしたのはそっちなんだから。
すかさず敵が転移してくる。数は六人。
戦力の逐次投入なんて愚かね。どれだけ能力があろうと戦いが素人では話にならないわ。
それともわかっていてやっているのかしら。アンタの性質上、ひとりでも残っていたら再起できるでしょうからね。
そうだとしたらとんだチキン野郎ですこと、オーホッホッホ!
「……」
クリスティーナが半目でなにかを訴えている。でも無視無視。
ここまできたらとことん煽ってあげなきゃ。
「なんの力も持たない小娘が! いい気になるなよ!」
六人が力押しでこちらを攻撃しはじめる。
大地が震動し、お爺ちゃんも歯を食いしばっていた。たぶんサイコキネシスってやつの押し合いをやっているのね。
クリスティーナも防御にまわってちょうだい! お爺ちゃんの負担を少しでも減らすのよ!
そして私は相変わらずの嫌がらせ攻撃。カプサイシンの雨あられ。煙幕用の爆弾を投入し、狙撃班による攻撃を援護した。でも相手の防御がやぶれない。
「はっはっはっ! もはやお前のでる幕ではない! この強大な力に押しつぶされるがいい!」
足元の地面が砕け始めた。お爺ちゃんとクリスティーナの二人がかりでも抑えきれなくなったらしい。これはマズい! でも絶好のタイミング!
私はポシェットに手を突っ込むと遠隔スイッチを探し出した。それポチっとな。
次の瞬間、戦隊ヒーローよろしく爆発が起こった。もっともヒーローのように背後ではなく敵の足元が爆発したわけだが。